第12話 開幕カード2戦目

開幕戦で初登板が終わり開幕2戦目になった。

ただいま絶賛バッティング練習中だ。

自分では長距離が得意な為、常にフルスイングでスタンド超えを狙っている。しかし、常にホームランが打てるわけでは無い。

バッドに当たった角度やスイングスピード、打球速度で大きく変わる。

プロでは当たれば飛ぶでは済まされない。高卒ルーキーは1、2年でクビになる事は早々無い。

でも、結果は必要だ。怜は当たれば飛びタイプだが捕手に為捕手としての練習とバッティング練習が必要の為大変だ。



16スイングのうち8本はスタンドインした。


監督から先に伝えられたが今日はベンチスタートだ。




試合前30分前になった。お客さんもたくさん来てくださっていて嬉しい。

打順は昨日と同じでスタンダードだ。


さて試合展開はと言うと、4回まで両チーム共に無得点だったが楽天の田中選手の3ランにより3点リードされている。

因みに9回表までロッテは0点だ。


しかし、2アウトながら満塁のチャンスだ。それに俺が代打だ。

ヤバい緊張する。おまけに打たなければ試合終了だ。


俺は覚悟を決めて打席に入る。


『8番田村に変わりまして山本』とアナウンス。

俺はプロ初打席に立った。


初球はストレートだが振らない

『ボール』

明らかにボール球だ。


次に変化球が上手くインコースに決まりストライク。


そして3球目俺は力一杯フルスイングしたが、空振り。

これで2ストライク1ボール

追い込まれた。三振だと試合終了。それだと絶対に嫌だ。1試合でも落とすわけにはいかない。それに俺には監督からの信頼感を与えなければならない。


次の球で試合を決めると決めた4球目。俺はフルスイングをした。

「カンッ!」とバットの音がなる。

白球は電光掲示板に向けて一直線。打った瞬間に分かったこれはホームランだと。


そのまま掲示板にダイレクトで当たりホームラン。

プロ初打席代打サヨナラ満塁ホームランだ。

最近では長野選手が横浜戦で打って以来だ。


俺はバットを軽く投げてダイヤモンドを一周した。チームメイトはホームで大騒ぎ。

そして俺はホームベースを踏んだ。

スタンドも大歓声。これで2連勝だ。けれど最近いいことがありすぎて大きな悪いことが起こりそうで怖い。それが、家族に関係することならなおさらだ。

けれど、今この瞬間を楽しまなければならない。


チームメイトにひっちゃかめっちゃかにされてようやく解放された。

スタンドは山本コールが起きている。それに俺は一礼。


そして俺ははじめてのお立ち台に上がった。


『今日のヒーローはもちろんこのお方。山本選手です。ナイスバッティングでした』

「ありがとうございます」とハキハキと言った。

『プロ初打席にして代打サヨナラ満塁ホームラン。どんな心境で打席に立たれたのですか?』

「高卒1年目でまだ監督からの信頼感をしっかり与えられていないし1試合でも負けるわけにはいかないので俺が決めてやろうと思い打席に入りました。」

『初打席がサヨナラホームランは1人しか達成していないに加えてプロ初打席で代打サヨナラ満塁ホームランは史上初のことです。当たった感触はいかがでしたか?』

「次の球は絶対にフルスイングすると決めていて当たった瞬間に打球角度が良かったので入ったとすぐに分かりました」

『初ホームランのボールですがどうなさいますか?』

「初めて発表することですが言ってよろしいですか?」何故俺はこんな事を言ったのだろう。自分でも不思議に思う。初登場の情報はメディア関係には大きいえさになるのに。

『是非ともお聞かせください』

「この度私は結婚することになりました」と言った瞬間会場の雰囲気はピークに達した。

スタンドからは大きな指笛や歓声が上がった。

「このホームランは妻はもちろん自分の父、母や妻のお義父さんとお義母さんに捧げたいと思います。」

『ご結婚おめでとうございます。これからも頑張ってください!今日のヒーローは山本選手でした。』

スタンドからは大きな声援。結婚への祝福を込めて「おめでとう」などの声がかかる。

ベンチに戻る際に1回深々と頭を下げた。


ベンチ裏ではチームメイトやコーチ陣が「おめでとう」との声がかかる。

俺は「ありがとうございます。明日も勝ちましょう」と言った。


ロッカールームに入るとチームメイトである田村選手がこう言ってきた。

「お前の奥さんどんな人?写真とかねぇの?」

俺は断る理由が無い為スマホを取り出して画像フォルダを開けた。

見せた写真は結婚式の後でお互い私服の姿だ。

俺は黒の長袖とジーパンで香織は白のコートに黒のロングスカートだ。


選手達は一斉にスマホを覗き込んできた。

そして数々上がるのが、「めっちゃ可愛い」と。

自分でもそう思う。娘ができたらどんなに可愛いことだろうか。


「こんな美人ならもっと早くに言ってくれよ〜。成宮と一条は知ってるのか?」

「長谷田のメンバーなら知ってますよ。それにこの事はお立ち台に上がるときに言おうと決めていましたから」

「お幸せに。けど今度紹介してくれ」

「分かりました」と一言。

香織からRailが来た。RailとはSNSの1つであり無料で通話やトークが出来るアプリだ。

選手達のRailはチームのグループで全員のを登録した。


俺は中村選手の車に乗り帰路に着いた。

しかし何故中村選手の車に乗っているかと言うと長谷田は小学校から大学まであり中村選手は長谷田大学を卒業しているからだ。(実際は早稲田大学卒業で長谷田はそれを真似て作った架空の高校です)


車の中では他愛ない会話をすること10分... 家に到着した。

中村選手は疲れたから家に帰りたいと言うのでその場で別れた。


「ただいま〜」と俺の声にすぐに反応した香織。

「おかえり〜」と言い軽い口づけを交わす。


「球場で食べたと思うけど何か食べる?」

「軽くちょうだい」と返す。

「じゃあカンパチのカルパッチョで良い?それならすぐに作れるから。それにドレッシングは私が作った自信作!」

「それ頂戴。楽しみだなぁ」

「大したものでは無いよ。けどドレッシングはノンオイルとこだわったけどね」

「そっちの方がありがたいよ。いつもありがとう」

「いえいえどういたしまして。いつもあなたの側に居られることが幸せだからね」

そう熟年の夫婦が会話するような会話だ。


香織は作ったカルパッチョは絶品で箸が止まらなかった。自作のドレッシングも酸味と甘みがちょうどよく良くマッチしていた。


そのあと俺は風呂に入り、ベッドに入ったのは11:45。


香織に軽いキスをし抱き合って夜を過ごした...






作者より

ちょうど3月15日は小学校の卒業式だったそうですね。ご卒業おめでとうございます。

けどこの作品をお読みになられている方に卒業生がいらっしゃるのでしょうか?笑

ちょっと気になりますが駆け出しの作者ですが見て下さった方の全てに感謝申し上げます。

さて、3月15日はF1の2019年シーズンがオーストラリアで開幕しましたが。決勝は日曜日で今日は予選でしたがルイス ハミルトン選手が首位でした。さすがメルセデスという走りでした。個人的にはフェラーリとレッドブルにも期待しています。

少し話が脱線しましたが少しこの作品で変更点があるのでお知らせします。

登板時の登場曲ですが、金曜日の試合時のみフライデーナイトファンタジーを使おうと思います。しかし、フライデーナイトファンタジーが何のテーマ曲か知っている人はどれくらいいるのでしょうか?少なからず20代の方までは知らない方が多いと思いますが、今でも大人気の番組であるのでまだまだ続いて欲しいです。

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