第1391話新しき 年の初めの 初春の  万葉恋歌(完)

三年の春 正月一日、因幡の国庁に於て、饗を国郡の司等に賜ひて宴せし歌一首

※天平宝字三年(759)正月、因幡の国庁で国郡の司たちを招き、天皇の代わりに、饗宴を賜い、その宴会において、守大伴家持が詠んだ。

※万葉集の最後を飾る歌。


新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事

                    (巻20-4516)

右の一首は、守大伴宿祢家持の作りしものなり。


新しい年の初め、初春のめでたい、今日この日に、降る純白の美しい雪は、もっともっと積もって欲しい、吉兆なのだから。


天皇になりかわり、国守として、宴会をもりあげる、めでたいものにする、その目的を持った歌。


大伴家持は、この歌で万葉集の編纂を終えている。

学者の中には、日本民族の美しい正月の永遠を寿いだとする人もいる。

私も、単に因幡国守としての宴会歌とだけは、捉えたくない。

確かに、平和で美しい正月、初春は、子孫代々、永遠であって欲しいと思うから。




※長らく続けて来た「万葉恋歌」は、これにて、(完)といたします。

私なりの感想は、多過ぎて書き切れません。

この「万葉恋歌」に取り上げなかった歌も、多いです。

また、訳は難しい歌も多くありました。(できる限り平易な訳を心掛けましたが)


少しでも、千三百年以上前の人々の思いを感じたいと思って、続けて来ました。

お読みになられた方も、「何か」を感じていただけたら、幸いです。


最後に、長い間、ご愛読ありがとうございました。

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万葉恋歌  舞夢 @maimu

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