その答えはフライパンではない。

『パンはパンでも食べられないパンはなに?』
そのなぞなぞの答えを、彼らはフライパンではなくパンツとした。

水沢くんは問う。「パンツって食べられないって誰が決めたんだろうね?」食べられないと決めるとき、その要因を以下の二つと仮定しよう。
①口に入らない、②消化的によろしくない。
この場合、フライパンは①②共にアウトだ。パンツは?①はOKだが②がアウトだ。どうやら消化の都合により、パンツは食べられないとされるらしい。

しかし水沢くんはその「食べられない」パンツを食べたいと言う。
君(一ノ瀬さん)のパンツを食べたいと言うのだ。
そう、彼は彼女のパンツを消化したいのだ。なぜ消化したいのか、彼女のパンツから栄養を得る為ではないだろう。

消化には、理論や知識などをよく理解して自分のものとして身につけること、という意味がある。
彼は身につけたいのだ、パンツを。(断じて物理的な話ではない)
パンツ――それは人間の大事な部分を守るものである。彼女の大事なものを守る、その役割を担いたいのだ。彼は彼女を守りたい。では、何故彼はそう口にしない?何故パンツを口に運ぶ?

「僕は、そんな凡庸な言葉を言いたいわけじゃない」そう言った彼にとって、パンツを食べることは「君の大事なものを守りたい」という気障なセリフの非凡なる体現方法かもしれない。

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