当作品のレビューを書くにあたり、私は極めて深い悩みの中にいる。

この作品を人に薦めて良いのかどうか。

 パンツを食べたい。この作品の登場人物はそう高らかに宣う。
 見たい、脱がせたい、嗅ぎたい。どれも変態的で犯罪的だが、異性に対して抱く感情としてはありふれている。
 意中の相手のパンツを食べたいという欲求。他の変態と呼ばれていた発想に比べ、二乗倍の変態度を含有する。他のありふれた欲求がまるで健全な発想に思えてしまう程である。この登場人物は紛うことなき変態だ。
 一方で、某声優を生業とする人物はTwitter上で「口に含むならシルクをお勧めする」という知見を提供している。つまり、パンツイーターとも呼称すべき変態的な人々は少なからず存在するという事である。

 だが、そこで作者様はパンツイーターという極めて小さなターゲットに向けてこの作品を描いたと結論づけるのは早計である。そのような作品であれば、どこかの巨大掲示板の特殊な趣味の板かチラシの裏に書くべきものであるからだ。

 では、誰に向けての作品なのか。
 それは愛したい、愛されたいと願う人々に向けてである。
 考えてもみて欲しい。パンツだ。食べ物ではない。しかも、新品でもない。あなたの愛する相手が現在進行形で着用している物である。それを食べたいと思うだろうか、否、だろう。
 または相手にパンツを食べさせて欲しいと願われたら。それも断るだろう。相手に対して嫌悪感すら抱いてしまいかねない。

 つまり、パンツを食したいと要求する西野とその想いを真摯に受け止める主人公は、我々よりも遙かに高い次元の愛情を有しているということだ。我々読者など及びも付かない次元で互いを愛し合っているのだ。

 真実の愛を超えた超次元の愛を知れ。それがこの作品の真髄なのである。
 私は心を決めた。これは世界に勧めるべき作品である。

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