ある迷宮探索者の栄光と苦難

この物語の主人公はダメ人間である。
守銭奴ロドリックなどと呼ばれ、他の冒険者には忌み嫌われ、女にはだらしがなく、それでいて中途半端に強い。そんな主人公だ。

およそ主人公らしい特性は持ち合わせて居ないように思えるこの男だが、一つ主人公らしい点があるとすれば、読者がこの主人公を愛せずにはいられない、そんな魅力を持っている点である。
軽快な一人称で語られるこの物語には思わずクスリとさせられる場面も多く、ダメ人間とわかっていても愛さずにはいられない。
そんな愛すべき主人公だが、何故か、めちゃくちゃかっこいい。

絶対絶命。命の灯火が今にも尽きようとしている時、不思議とロドリックならなんとかしてくれ…続きを読む

翻訳物のミステリーの雰囲気を感じます。
ちょっとダメなところのある男性がもがく姿は色っぽいですね。伏線がストーリーの奥行きを作ってとても楽しめます。

世界観や背景がしっかりあって、物語が面白い上に、更に更に人物像が緻密！男の優柔不断さやダメ具合が凄まじくリアルで、なんでこんなに伝わるように書けるの⁈と驚愕。俺Tueeeでチョロインハーレムでは有り得ない、あー確かにモテる男ってこうなのかもなぁと思いました。ヒロインについつい「やめときな！他にいい男いるよ！」とリアルで言うような言葉が出て来そうなくらいに肩までどっぷりハマりました。うわぁ惚れたらダメな奴だーと分かりながら惹かれてしまう、たまらなく魅力的なヒーローです。

いや、本当に面白い！
物語の前後が語られず、状況の途中から描写するやり方は、乾いた印象を与え、先人の手法の踏襲としても品が良い。最高。
昨今はアニメ化が流行りだが、これなら実写で見たい。
にしても、星が足らな過ぎて逆にびっくりする。
えー！

とにかく、読み始めたら止まりません！　まさに宝箱で分不相応の大当たりを引いた気分。

楽して稼ぎたいけど楽な道なんかあるわけない。そんな事は理解しつつ、それでも出来るだけ楽したい。仲間は大事、自分も大事。でもちょっと自分優先。ベテランになるまで散々苦労も間違いもあって、いい縁もあれば実はあちこちで恨まれてもいる。
そんな非英雄、されどここまで生き残ってきた、ベテランダンジョン探索者のお話しです。
その場が目に浮かぶような表現力がクセになります。
ダンジョン物が好きな方は是非読んでみてください！

ダンジョン物としては硬派な部類で、冒険のシビアな部分が描かれている。
冒険は行きと帰りがあるからこそ、ダンジョンが一層毎に辛くなるのがWizardryらしくて……

主人公は粗野な冒険者のオッサン。ラノベ主人公のようなヒョロガキが無双する展開は面白くないが、実績のある冒険者の冒険は見ていて楽しくなる。

そんな主人公が一体なぜ落ちぶれたのか。はやく先が読みたい！