第10話 顔隠して胸隠さず

私と姉は、すでに集合場所の近くまで来ていた。


「姉、本当これ大丈夫?すごい視線浴びてる気がするんだけど…」


「大丈夫だと思うよ?男装も似合ってるし、可愛らしい帽子もマスクも眼鏡も!すごいオーラが溢れ出してるよ!」


「それダメなやつじゃん…」


「まあまぁ、あっ、集合時間まであと五分切ってるよ!早く行って来なよ!」


「あっ、ちょ!」


私は姉に押し出されて建物の陰から出てしまった。


そして残念なことにみんなと目が合ってしまった。


これはしょうがない…行くしかないかな?


私はみんなの集まっている場所まで歩いていく。


「みんな、おはよう」


俺は賢太郎に声をかける。


「あの、どなた様で?」


「俺だよ。赤宮 きりん」


「えっ!?お前がきりんだったのか!?でも…その格好とその声はどうしたんだ…」


「声はちょっと風邪ひいちゃって、小さい声しか出せないから勘弁。この格好は…何となくイメチェンかな?」


「でも胸が…」


「胸?」


私は自分の胸をみる。


そういうことか…やらかした…

胸が大きくて隠せてないじゃん!


「お前誰だ?」


女子の三人も私のことを疑っている。


仕方ない、変装した意味がな買ったかー


「わかった。ちゃんと話す」


「ふぅ」


私は一度呼吸を整える。

そして一気に変装をとく。


「私は赤宮 きりんの姉の赤宮 カノンです。よろしくお願いね?」


「「「「えっ?えぇええーーー!!!!」」」」


女子共々みんな驚いていた。


「何でここにカノンが?」


「ま、まじかよ!」


「夢じゃありませんの!?」


「カノンちゃん!?」


「みんな静かにして」


私は雪菜の口に人差し指を添える。


「ふぇっ?…!!」


そうすると、何故か雪菜が顔を赤くする。


何故?


「とりあえず、ここは騒がしいし、いつまでもここにいると騒ぎになるから、人がいないところに行かない?」


そう、周りを見てみると、私に気づいたのか、スマホで写真を撮ったり、サインを貰おうとしている人もいる。


その光景をみた私たちの班の子は頷いてくれた。


「じゃあ、走ってついて来て」


私たちは、その場から逃げるように走り出した。


姉、帰ったらたくさん文句言ってあげるからね!

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