そは亡者の呪いか、太古の怪異か。絶海の孤島に蠢く影。

1994年6月、大学院生の橘川と立花は、伊豆諸島の小島を訪れた。地質学と植物学のフィールドワークの予定だった。アホウドリが飛び、シマホタルブクロの変異株が咲く島で、二人は地元の漁師の「長居をしない方がいい」という忠告にもかかわらず、夢中で調査を行った。
日が暮れると、暑さが、無数の虫が、彼らを襲った。謎の人影、鳥居、洞窟、補陀落渡海の伝説……。ひたひたと忍び寄る恐怖が、主人公たちを追い詰めて行く。


前作を拝読しました。改稿版のこちらは、構成も新たに、研ぎ澄まされた文章がいっそう深く、恐ろしく、読み手の心に刺さる作品になっています。夏の終わりのホラー、ご堪能ください。

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