静かに迫る恐怖と、全てを塗り替えるスペクタクル

どこか懐かしさを覚える、始まりの時代。
そこここに描写される、会話や小物の時代感が楽しい。

二人の若き研究者の卵の様子は微笑ましいが、彼らが表題にある、孤島の影と出会ってから、物語世界の色が一変する。

ひたひたと迫る恐怖。
明らかになるほどに、背筋を震わせる事実。
まるで闇のなかに転がり落ちていくかのような、物語の展開は、思いもよらぬスペクタクルへと変わる。

読みやすくも、実の篭った筆致。
あたかも実在したのではないかと思わせるような、『彼ら 』のことば。
ひとたび紐解けば、電子の頁を繰る手が止まらなくなる、伝奇ホラーの快作だ。

いやあ、面白かった!

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