黒猫、竜の鱗、人魚の涙……お姫様の呪いを解くのは?

昔むかし、この世の時を紡ぐ『時つむぎ』が、ある国のお姫様に恋をしました。ーーひとつの物語の異なる結末が、複数伝えられる世界。
「死なない体」を持つシェスティンは、ある特殊な事情から、ひとところに留まらない暮らしを送っていた。高値で取り引きされる「竜の鱗」を求め、彼女は「非常用食料」のウシガエルとともに出掛けたが、カエルには呪いがかかっていた。


おとぎ話風に始まる物語です。呪われたカエル、竜、黒猫、人魚、妖精……と、登場する人物(?)やアイテムにも雰囲気がありますが、どうして、丁寧に創りこまれた異世界ファンタジーです。
戦う主人公のシャスティンが魅力的です。傭兵、黒猫スヴァット、竜ラヴロ、薬師トーレと、他の登場人物も個性的で、シャスティンをめぐる彼らの遣り取りが楽しかったです。
呪いをひとつひとつ解いていく過程で、シャスティンの閉ざされた心が解けていくさまは、爽快でした。
竜、黒猫などの人外キャラ好きな方に、お薦めします(犬派の私が転向しかけたほど、黒猫ちゃんが可愛かったのですが。ラヴロが人化した途端、ころっとそちらに傾いたのは、内緒です……)。

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