呪われた黒猫と呪われた女性が紡ぐおとぎ話の1ページ

正統派ファンタジーでとても面白かったです!
主人公のシェスティンはその身に不老不死の呪いを受けています。ただ死なないだけではなく、彼女の呪いは他者を害するもの。それゆえにシェスティンは誰とも深く関わろうとせず孤独に生きてきました。
むかしむかしで始まるおとぎ話をベースにしたお話は絵本の1ページを連想させますが、内容は硬派なファンタジー。シェスが背負わされた運命は過酷で、心優しい彼女が人を避けて生きるのも納得してしまうほどです。
それでも主人公のシェスをはじめとした登場人物誰もが魅力的で、彼女の運命を見届けたくなるのがページを繰ってしまう理由でしょう。
何より主人公でありヒロインのシェスティンがかっこよく、読者の誰もが彼女に惹かれてやまないはず。心身ともに強くて賢く、他者を思いやる優しさも持った彼女ですが、時折見せる寂しい顔に読者もギュッと心を掴まれてしまいます。

中盤までは黒猫スヴァットの呪いを解く為の冒険譚の要素が強いですが、後半からはシェスの呪いに関する謎が一気に解明していき、読む手が止まりません。
おとぎ話はめでたしめでたしの大団円の結末を迎えられるのか。ぜひ彼女の紡ぐ時を一緒に見届けてほしいと思います。

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