若く美しい青年画家、彼の描く絵は人の心をひきつけ運命をも狂わせる

画家を目指す青年、大月陽。
最初は街中で似顔絵を描いていた彼は、ふとしたことでその絵に魅力を見出した通りすがりの出版社の社員やその恋人、またかれを昔から想っていた同級生たちと出会い、その豊かで幸福な日々の中で才能が少しずつ芽吹いていきます。

やがてその実力は少しずついろいろな人間たちに知れ渡っていき、彼の未来には栄光が約束されたかのように見えるのですが……。

主人公である陽と彼に魅かれて集まってきた人々の人生を描いた群像劇です。
どの人物も物語のために都合よく作られたという感じではなく、それぞれに信念や悩みを抱えて血の通ったキャラクターとして描かれています。

また時に悩み苦しむキャラクターたちの心情が詩的で繊細な文体で描かれていて、読んでいくうちにそれぞれの生きざまに引き込まれます。
ドラマティックでミステリアスな物語として楽しむことができると思います。

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