伯爵令嬢が王太子あての恋文に隠された思惑を推理する。
- ★★★ Excellent!!!
中世ヨーロッパ風の異世界を舞台にした推理物シリーズの三作目です。
ヒロインの伯爵令嬢スイーレは婚約者クーガーとの結婚を控えていましたが、そんな矢先に城の催し物で王太子あてに差出人不明の恋文が置かれていたことがわかります。
王太子はその相手のことが気になっている様子ですが、第三者的な立場で置くことができた人間はいないことが判明します。
置いたのは内部の人間なのか、何か思惑があったのか、スイーレは知り合いの推理小説作家や王太子の妹である姫の話を聞きながら推理を展開するのですが……。
主人公は政治的背景や置かれていた状況を基に誰が恋文を残したのかを論理的に限定して聞きます。
説得力のある議論から真相を明らかにする結論を描く中で、答え合わせをするように実際の着地点が明かされていきます。
普通とは違う視点のファンタジーミステリが好きな方にお勧めの一作です。