一筋縄ではいかない極上の異色ミステリー

本当にこの作者さんは物語作りが上手です。
もうガッチリ、ハートをつかまれておりまして、第二弾も期待通りに堪能させていただきました。

基本は学園ミステリーということになるのでしょうか。
かといって殺人事件は起こりませんし、凶悪な犯人も出てきません。
起こるのは日常からあふれたような、でもやっばり不可解な事件です。

冷静でちょっと自虐的な月ノ下くん、聡明だけどなんかズレている星原さんのコンビがその事件を解決していきます。
面白いのはその推理パートなんですが、この肝になるのが俗説のような、哲学的なような、心理的なような、ちょっと変わった切り口がヒントになっています。
このちょっと複雑、でも自分でもちょっと考えてみたくなるテーマに向き合うのがなんとも面白いのです。
そして明かされる謎解きのカタルシスもバッチリです。

そうそう、それと学園ミステリーならではの、この月ノ下×星原コンビの軽妙なやり取り。
前作で想いが通じたハズなのに、ちっとも距離が縮まっていない二人の不思議な距離感は甘酸っぱい笑いがたっぷりです。

この二人のコントのようなパートが、ミステリーと両輪になって物語を盛り上げています。

とにかく不思議な深みと余韻を感じさせるストーリーと、軽妙なキャラクターの会話。読みやすさはもちろんのこと、コメディー感覚もバッチリで、次々と読みたくなる吸引力があります。

ちなみにこのシリーズ、中編が集まって一つの作品になっているので、どこから読んでも楽しめます。
ですがもちろん、第一部から読んだ方が面白いに決まっています。

ぜひぜひ読んでみてください!

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