エルフですが、九州でマタギ(?)やってます #エルマタ

作者 雪車町地蔵@【衛生兵でした!】好評発売中

隠す気もない剥き出しのテーマ

  • ★★★ Excellent!!!

食育だの「生きる事とは他の命を奪うこと」だのという、しちめんどうくさい前置きに続き、取って付けたように現れるエルフ娘に天狗面の男が振る舞うのは、ムカデ盛り合わせに蜘蛛の生食。まさに砂糖菓子に焼肉のたれをぶちまけるがごとき暴挙。

ジビエ料理と呼ぶには野趣に富み過ぎるマタギ食のフルコースにげんなりした頃、達磨男(男?)の登場により天狗面の男の過去が紐解かれる。時折見せる狂気めいた妄執の理由。過ちによって失われたもの。

おふざけに見えた前半から一貫して描かれ続けた「生きる為の食」という命題が、濃密な血と獣の匂いに包まれ、凄烈でいて荘厳な決着へと突き進む。

各人「おぅ……」というブラバ要素は無数にあろうが、最後まで読み終えた時には、確かな充足感があることだけは請け合い。

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★★★ Excellent!!!

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もはや、現代人にとってレッドリスト入りされた絶滅危惧種にもよく似たマタギ生活をしてくださいと言われたら、5000兆円くれなきゃ、… 続きを読む

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