そらにとけてかぜにのる。

無駄に博識な著者ならではの、食の蘊蓄からはじまる与太話。
いつグロい展開になるのか期待半分、恐れ半分で読み進めると、戦火に裂かれた男女の淡い恋の話が、夏めいた風鈴と金魚の話題に絡み、颶風の来去とともに金魚鉢の中に結実する。
予想外にリリカルな、それでいて神話要素を滑り込ませるのも忘れない。
夏の終わりに相応しい涼やかな物語を堪能できます。

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