高い筆力が映える秀作。

 ホラーを思わせる冒頭は秀逸、我を取り戻したときには既にその術中に絡め取られています。

 読み取るべきとものは何か、我々が思いをすべきは何か。

 綴られる良質のセンテンスの一つひとつが、見事に期待と予想を裏切り、そしてあなたの心に深い感慨と感動を残します。

 無数の風鈴がゆらゆらと揺れる、美しくもはかなく、そしてどこか恐ろしげでもあるその情景に、あなたも心を捕われてみませんか?

 掌編ながら、作者の筆力の高さが充分に活かされた作品です。
 是非ご一読を。

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