絶望も振り返る必要もない

 この物語で、「王道」という言葉が持つ意味やイメージを時折、考えさせられました。

 唐突に訊ねられたら、ヒーローがいて、ヒロインがいて、悪役がいて…という想像をしてしまうのですが、この物語を読んで、そんなものを想像してしまう自分の貧困さに気付かされました。

 この物語を読み進めて感じる事は、昔、読んできた童話やお伽噺、また子供向けのハードカバーに描かれていたテーマでした。

 衝撃的な展開、場面があり、主人公たちの苦悩が書かれているのですが、この物語に絶望や後悔は相応しくない言葉だと感じ、その点こそが「王道」なのだと感じます。

 物語と同じく登場人物も前へ進む物語は、読者の記憶に刻まれたものと合致するものではないでしょうか?

 登場人物も同じく、絶望も後悔も、ただ憶えている他家では根に持っているに過ぎず、記憶に刻んでいるからこそ新しい天海を迎えられる…だからこそ、この物語に王道を感じさせられます。

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