壮大な物語の序章。硬派なファンタジー戦記。

読み始めは「王道のファンタジーかな」と思っていたのですが、いやはやこれがまた硬派な戦記物の様相で驚きました。
神視点かつ歴史小説のような(作者が読者に語り掛けるような部分が入っているとか)語り口です。

のどかな村で、白翼猫のスカイや幼馴染み・ディックに囲まれて平和に暮らしていた少女・レイラは、きょうだいと離れ、父親が突然亡くなり、孤独な身となる。
そこへ王国の役人たちがレイラを捕えようと突然来襲。結果、住んでいた村が壊滅状態になる。
生き残ったのはレイラとディックとスカイだけ。二人と一匹は、日を置いてやってきたギルドの者たちと行動を共にすることになる――

時折挟まる回想シーンで名前が伏せられていたりして、ムードたっぷり。
レイラやディックの正体は次第に語られていきますが、このお話ではまだすべてが明かされていない模様。
壮大な物語を予感させます。
特にレイラの中にいる存在がとても気になります。
まだほんの少ししか出てこない彼女ですが、キャラ立ち抜群。善か悪かもまだ分からないのですが、そんな些細なことはどうでもよくなるほど、出てきただけで圧倒されました。
特にバトルシーンでは魅力が光っていると思います。

そして、最初ちょっと嫌な奴だったグレイですが、実はいい人ぶりがにじみ出ていて好感が持てました。
このお話の中では一番人間臭いというか、個人的に心を寄せやすいキャラです。

終盤、とある人物の裏切りにはとても驚きました。いい人そうだったのに……。
ここからの展開はとても胸熱でした。
エレミアの力を垣間見れたところもよかったと思います!!

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