淫靡で、残酷な、許されぬ愛の証
- ★★★ Excellent!!!
浮世から隔てられた山の中にひっそりと佇む旧家。そこに出入りする庭師の弟子・利吉は、美しい令嬢・聡子に密かな恋心を抱くようになります。でも、それは叶わぬ恋。ところが、聡子が十八歳になり、縁談が決まったとき、利吉に言います。
「私を連れて、逃げて頂戴」
そして、二人は駆け落ちを試みます。二人のことを誰も知らないところへ。
文章が濃密で、それでいて読みやすいです。情景が目に浮かぶだけでなく、その場の音、匂い、恍惚まで、まるで自分が体験しているかのように感じられました。
痛い場面は本当に痛そうで、淫靡な場面は息を呑むほどにエロティックです。
駆け落ちた先で、二人を待ち受ける残酷な運命とは?
心に焼きつくような物語でした。