二人が行きつく先は、果たして光か闇か?

「あたしを連れて逃げて」と囁くお嬢様。その手を引いて闇をくぐる庭師の少年。

 駆け落ちするふたりの行く手には何が待ち受けているのか?

 短編ですが、明治大正のころを彷彿させる物語の舞台、全体に漂う退廃的な雰囲気。嵌まります。前半の光満ち溢れる二人の出会いから、後半の暗黒に沈む逃避行。そして、二人の行きつく先。果たしてゴールはあるのか?

 非現実的な怪異に頼ることなく漂う恐怖。そのものズバリをただの一つも出さずに醸し出される強烈なエロス。
 澄んだ泉にそっと足先を触れたら、水中から伸びてきた白い手にいっきに光も届かぬ深海まで引き込まれるような短編です。

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