繊細で、知的で、優しさに溢れたサスペンスホラー

ドリームエンコーダーとは、寝ている間に見る夢を記録する装置。同棲中の勇吾と佐奈は、そこに記録された夢を見ながら、穏やかなゴールデンウィークを過ごしています。

とても幸せ……なはずなのに、不安と焦燥感が消えないのはなぜだろう?
何か大切なことを忘れているような。
そして、ドリームエンコーダーには1つ削除されている夢があって……。

夢と現実を行き来しつつ、物語は二転三転していきます。

サスペンスホラーとある通り、予想のつかない展開にハラハラさせられるのですが、それ以上に、この物語は優しさに溢れていると私は感じました。特に、勇吾が最後が取った行動には、読み終わって一晩経った今も心がじーんとしているほどです。

繊細に、知的に組み立てられた、哀しくて優しい愛の物語。作中の時間と重なるゴールデンウィーク中はもちろん、いつ読んでも素晴らしい作品だと思います。

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