夢か現か、現か夢か。導き出される真実だけが、その境界を飛び越える。

眠っている間に見た夢を記録できる「ドリームエンコーダー」という機械を通して、曖昧になっていく夢と現実。
ヴィジョンとして浮かび上がる、愛する彼女を襲った悲劇。
いったい何が起きたのか、真実はどこにあるのか。
二転三転する展開からひと時も目が離せず、最後の最後まで結末が予測できませんでした。

本人すらも自覚していない人間の本質や、心の奥に潜む闇。
それらが「ドリームエンコーダー」の記録から徐々に呼び起こされ、自分自身に対して疑心暗鬼になっていくという描写が、凄まじく秀逸でした。

ラストは物哀しさもありながら、どこか救いの風を感じました。
本人すらも自覚していなかった本質——心の中に確かにあった「光」が、見えたような気がしました。

とても面白かったです!

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