第3話 魔王代理とか死ねるわこれ

「あぁ……死ねるわこれ……」


 俺、一ノ瀬 洸真は魔王城にあるたくさんの個室の中の1つを自分のにして使うことにして、今はその部屋のベッドの上で瀕死状態になっている。


「まさかあんなに魔王代理の仕事がキツイとは……魔王め! 嘘つきやがって」


 城案内が終わったエリーさんはさっそく俺に仕事を突きつけてきた。


 まずは溜まった書類の処理だったのだが、これが一番辛かった。


 魔王が溜めていた書類は約100万枚。

 いや普通に死ぬから……


 それを学校から帰ってきてすぐ行い、ほとんど休みなくやったのに約1ヶ月程かかった。


 そしてそれが終わると次は魔王城の掃除だ。まさか魔王自ら掃除していたとは。魔王がいない時は仕方なくお手伝いさんがやってくれていたみたいだけど。


 そのままお手伝いさんがやってくれれば楽なのに……


 そしてこの掃除も約2週間くらいかかった。魔王城は3階建てで地下もあるので掃除も大変だった。


 そして今俺はとりあえずの仕事を終わらせ瀕死状態になり絶賛死亡中である。


 ガチャッと音と共にエリーさんが部屋の中へと入ってきた。


「ノックくらいしてから入ってきてくださいよ」


「あぁこれはすまない、しかしあの程度で疲れていてはこれから先がキツイぞ?」


「正直言って俺には無理ですよ、早めに辞めたいです……」


「代理を辞めたいなら魔王をここに引きずってでも連れてきてくれ、そうしたら代理なんてしなくて済む」


「でも俺が来るまでエリーさんが仕事してたんですよね? 捕まえにいこうとはしなかったんですか?」


「あぁ、捕まえようとしたさ……しかも部下の魔族を一万も連れてな、だがあいつは捕まらなかった」


 早く部屋を出たいレベルに凄い殺気だっている。

 完全に怒ってる……怖いよ顔が。


 数分がたち、ようやくエリーさんが落ち着くと、彼女は今日一日は休んでおけと言って部屋から出ていった。


 俺は彼女の言う通りに今日は安静にしようと思い、深い眠りについた。




 いい匂いがして俺は目が覚めた。

 部屋にある机の上に温かいスープとパンが置かれていた。さっき持ってきてくれたばかりなのだろうかスープからは湯気が出ていてとても美味しそうだった。


 有難いけども、俺にはプライバシーというものはないのか……

 せめて部屋の扉に鍵をかけれるようにして欲しいものだ。


 俺はそのスープとパンを食べながら時計を見ると8:30を指していた。


 俺が寝たのが00:00くらいだから約8時間寝ていたことになる。いつもは4時間くらいしか寝ないので昨日はやはり疲れていたのだろう。


トントンとドアを叩く音がしてから、


「起きてるか~?」


 今回はきちんとノックをしてからエリーが入ってきた。


「あぁはい、この朝食をいただいてました」


「そうか、今日は魔界に大事なものを人間界に買いに行くので魔王代理として一ノ瀬君にもついてきてくれ」


「はい、それはいいんですけど、人間界に魔界の大事なものなんて売っているんですか?」


 俺は首を傾げながら質問した。魔界に大切なものなら魔界にあるはずなのに何故人間界にあるんだろうか。


「人間界に行かないと手に入らない物だからね」


「へぇそうなんですね、ちなみに人間界のどちらへ?」


「東京の中の秋葉原です」


「あぁ秋葉原ねぇ……え? 今なんて?」


「んっ? だから東京の秋葉原だけど」


「いやいやいやおかしいでしょ!?」


 なんで秋葉原に魔界に大事な物が売ってるんだ? あれか? 裏路地に実は魔界店みたいなものがあるとかなのか?


「まあ行ってみればわかるだろ、それでは転移!秋葉原!!」


 こうして俺はエリーさんに連れられ人間界の秋葉原へと向かった。

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