第14話 お花見

 エリーさん達に連れられ、俺はお花見に来ていた。


 メンバーは魔王、エリーさん、エリーさんの妹、リー、アイリス、メイド、そして何故かあの吸血鬼の少年コールもいた。


 ほとんどのメンバーはいつもの服装とは違い、人間界に合わせた服装をしている。


 そんな服どこで手に入れたんだと聞くとユ○クロで買ったと言っていた。


 ちなみにメイドのカースさんは普段通りのメイド服姿だ。花見にメイド服ってなんかおかしい気はしたが、あまり目立ってないので特に問題はなし。


「それじゃ新年明けましておめでとう! 乾杯」


 魔王の謎の挨拶でお花見開始。


「明けましておめでとうって遅くないですか?」


 俺がツッコミを入れると、魔王はこれだから人間は、みたいな顔で答える。


「魔界では人間界でいう4月が新年なのだよ」


「えっ!? そうだったんですか」


 ちなみに4月2日から新年だそうだ。

 なんでそんな微妙な日にち......


「一ノ瀬く~ん、血を吸わせてよォ~」


 コールがもう酔ったのか、凄いベロベロになって絡んでくる。


「あれコール君未成年だよね? 赤ワインなんて飲んでたらダメじゃん」


「僕は~こう見えても~もう75歳なんですよ~」


「えっ......マジで」


 ただの少年にしか見えない。


「そうですよ~エリーなんて12......グヘハッ!」


 エリーさんにみぞおちを殴られ、後方へ吹っ飛ぶコール。そのまま倒れ動かなくなる


 12でまだ言いかけてたってことは120歳以上ってことか? そんな風には見えないが......


 エリーさんの印象がどんどん変わっていく。


「さて、飲もう飲もう!」


 魔王は一升瓶を取り出し、おもむろに飲み始めた。

 リーも魔王に勧められてお酒を飲もうとしていたが、アイリスに止められていた。


 俺はカースさんが作ってきたお弁当を食べる。


 弁当なんて中学三年の運動会以来だろうか、少し懐かしさを感じる。


 それにしてもよくこんな場所取れたな......


 俺達がいる公園は桜が綺麗なことで有名な公園だった。


 そして公園の一番桜が綺麗に見れるスポットがあるのだが、その場所に陣取っている。

 夜中から取らないと、この人気スポットは取れないはず......


「エリーさん、どうやってこの場所を取ったんですか?」


「あぁ早めに結界魔法を張って、この場所を確保しといた」


 あぁ、だからこの近くに人がいなかったのか......結界魔法恐るべし。


 魔王とコールは酔っぱらって寝てしまい、カースさんが作ってきたお弁当も全て食べ終わったので、お花見はお開きとなった。

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