第13話 エリーの妹
「はあ〜疲れたぁ」
魔王の残り仕事を全て終わらせ、天井を見ながら少し休憩をしていた。
「それにしても量多すぎだろ」
書類にして千枚弱......辛すぎ。
急に膝が重くなったので、下を見るとそこにはエリーさんよりも少し背が低い女の子が俺の膝の上に座っている。
「えっと......」
俺は状況が整理出来ていない。
「何故こんな小さな女の子がこんな所に?しかも寝てるし」
とりあえず女の子を起こす。
「んっ......えっと、誰?」
「いやそれはこちらのセリフなのだが......」
「わたしはケイリス・オルエリー!」
女の子は元気よく自己紹介をする。
「俺は一ノ瀬 洸真。魔王代理をしてる者だよ」
「まおう?お姉ちゃんと付き合ってる人?」
俺は女の子のセリフに驚く。魔王と付き合ってる人なんていたのか......
「えっとお姉ちゃんって......」
誰、と言おうとすると扉からエリーさんが入ってくる。
「ケイリス、こんな所にいたのか」
「あっお姉ちゃん!」
「お姉ちゃん!?」
まさかエリーさんと魔王って......
「一ノ瀬」
エリーさんに呼ばれ、動揺しつつ返事をする。
「はっはい......なんですか」
「妹に変なことしてないだろうな」
「はい、してませんけど」
あんな小さな女の子に何かしていたら俺は犯罪で捕まるだろう。
「本当に何もしていないんだな」
エリーさんはしつこく聞いてくる。
シスコンか?
「そうか......なら良いが」
「あっそういえばエリーさんって魔王と付き合ってたんですね」
エリーさんが一気に険しい顔となる。
俺は自分が地雷を踏んだことに気づく。
「お前、それをどこで聞いた」
「ひぇっ......妹さんから、です」
「そうか、わかった。記憶から今すぐ抹消しろ」
そんな無茶な......ただ今だけでも記憶を消さないと俺自体が抹消されそうだったので忘れることにした。
「ところで何故こんな所に妹さんが?」
「最近実家に帰れていなくてな。久々に会いたいとケイリスに言われたから魔王城に来てもらうことにしたんだ」
「そうなんですね」
「ところで一ノ瀬も来るか?」
「えっ何処へです?」
「人間界だよ」
「へっ?何をしに行くんです?」
「ちょっと買い物にな」
「あぁ......またBL本ですか?」
「バカ言え、妹の前でそんな所行くわけないだろ」
そりゃそうだ。妹にBL好きにはなってほしくないだろうし。
「じゃあ何をしに......」
「お花見だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます