第6話 魔王久々の帰還

 あの事件の後、女勇者は頻繁に魔王城に出入りし、俺と話すようになった。

ちなみに二回目に女勇者が来た時に扉は直して貰った。当たり前だよね。


 しかし女勇者は暇なのか?魔王も男勇者も居ないからすることがないのかな?


 女勇者と喋っていると色々な情報を知ることが出来た。

 まず彼女の名前はアイリス、この魔王城より少し遠くの勇者村に住んでいるらしい。


 そして前に秘書から聞いた話は本当みたいで魔王城付近の土地は売られていて、既に色々な建物が建っているらしい。


 ただ話していても男勇者(リーグラウン)が何処に行ったのかまではどちらもわからなかった。


「魔王め、勇者をどこにやったんだか」


「もしかして殺しに来たのなら殺されたってことは…」


「いや、それはないでしょ」


「どうしてです?」


「魔王にあったことのある貴方ならわかるでしょ?凄い鍛錬をしてきたリーを魔王が簡単に殺すことは出来ないと思う」


 リーさんには会ったことはないが、確かにあんなメガネサラリーマンみたいなのが殺せるとは思わない……


「あれ?でも魔王は見たことないって言ってませんでしたっけ?」


「見たことはないけど、噂や見たことのある人聞いたことがあるから大体はわかっているわ」


「そうなんですね」


 俺納得。


「あんなのですけど魔王になるくらいですから凄い力を持っているのでは?」


「いやそれが全く強くはないみたい」


「えっ魔王なのに弱いんですか?」


「噂では本当はもっと強くて、当時最強と言われていた奴が魔王だったみたいですけど、そいつが病気で亡くなったせいですぐに新しい魔王を作らなきゃいけない時に、仮魔王として最強と言われていた魔王の息子が魔王になった……というわけ」


「強いわけでなったわけではなく、成り行きでなってしまったということなんですね」


「聞いた話によるとそうみたい」


「だからリーも1人で倒せるって言って1人で行ったんだけど…一体何処で何やってるのやら」


「本当ですね」


「おっなんだ?リーの話か?」


 聞き覚えのある声が後ろから聞こえ、咄嗟に振り返ると、そこには魔王の姿があった。


「魔王!?今まで何してたんですか!!」


「いやぁ、君に貰った十万円使ってボートレースで賭けてたんだけど、また大爆死してね」


「えっえぇ……」


 この人相当の馬鹿なのか?そろそろ懲りろよ。しかもまたって……


「貴方が魔王ね!リーをどこにやったの!」


 アイリスは即座に立ち上がり、魔王に剣を突きつけながら尋ねた。


「あぁ安心してくれ、リー君は無事だよ」


「じゃあどこに……」


「おっアイリスじゃん!お久ー」


「リー……?」


 魔王の後ろから出てきたのはリーと呼ばれる金髪の少年だった。

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