魔王城を100万で購入したけど何か?
クルミ茸
第1話魔王城を購入することになった
『魔界』
それは人間界、天界、と並ぶ三大界の一つであり、その魔界を統括しているのは魔界の中で最強と言われている魔王だ。
そしてその魔王は今俺の目の前にいて、自分の城(魔王城)を俺に100万で売ろうとしている。
何故こんなことになったのかというと遡ること数十分前……
俺は今年で高校1年生になり、田舎から夢の東京へと上京してきた。
しかし住む所もまだ決めていない状態で俺はいい物件がないか探しに不動産へと向かった。
そして今のこの状況に至っている。
「あの~いきなり魔王城を買ってくれと言われても…」
人間には大きく2つの種類に分けられていて、魔王やサンタなどを信じる派と、全く信じない派の2つである。
ちなみに俺は魔王や魔界の存在すら信じない派の人間なのだ。
だからいきなり魔王城を買ってくれと言われても信じられないし買うつもりもない。
しかも魔王城を買ったとしてどうやってそこから学校へ通うのかも問題だし、もし友達が出来たとして友達が遊びに来たら発狂ものだ。
「えっと一ノ瀬 洸真君?」
俺が色々考えていると魔王(仮)が話しかけてきた(俺は魔王など信じていないので仮を付けさせてもらう)
「えっ……あっはい」
あれ?俺名前言ったっけ?言った覚えはないはずなのだが……
ちなみに俺の名前は魔王(仮)が言った通り、一ノ瀬 洸真〈いちのせ こうま〉という。
「学校への通学は城に転移装置があるからそれを使うといいし、友達が来た時も魔法でどうにか出来るよ」
あれ?心を読まれているのか……いや読んでるよなこれは。
「あの~人の心を勝手に読むのは辞めて欲しいんですけど」
「おっと、これは失敬つい癖で読んでしまった」
心を読むことが癖になるって結構危ない人なんじゃないか?
「まあそれは置いといてだな、どうするかい?ちなみにさっき言った他にも生活には何不自由はないよ」
「食事は毎食出るし、風呂も部屋も広いし、ベットもフカフカだ。なっ?なっ?いいとは思わないかね?」
「まあ確かに……」
確かにいいとは思う。食事は自分で作らなくて済むし、転移装置があるなら好きな時に好きな場所へと飛べるのだろう。
「ちなみにいくらなんですか?俺上京したてで10万くらいしかお金はないですよ?」
「それは承知の上だ。魔王城を購入するにあたって君には魔王代理をしてもらう」
「えっ?なんでわざわざ魔王代理なんかを?」
「お金が無いのだろう?私はこちらに用事があってたまにしか魔王城に帰れないからな、代理をやって貰えると助かるのだよ。ちなみに魔王代理の時給は1万円だ」
「いっ1万円⁉︎⁉︎」
普通のバイトと比べると約10倍の金額だ。
「ちなみに魔王代理といっても秘書がいて、そいつがほとんどやってくれるから多分君は座っているだけでいいと思うがね、どうだい?」
秘書優秀なんだなぁ~
確かに座っているだけでお金が入ってくるなんてこれ以上いいことはない。
「うーん、ちなみに他の物件とかは……」
「ない!」
「即答⁉︎」
どうしたものか……
「100万円なんて100時間座っていれば手に入るではないか」
「いやお金の問題ではないんですけど……」
「では何が問題なのだ?」
魔王(仮)は首を傾げながら尋ねた。
「……わかりました購入します」
まあ場所と見た目は悪いとは思うけど転移装置もあるみたいだし中々低価なので購入することにした。
「おぉ!ありがとうありがとう!」
何故か魔王は俺に厚い握手をしてきた。
「ではこちらに書名してくれ。あと100万円分は払える分の10万を先に支払い、後は分割ということで魔王代理の給料から月に30%引くことになる」
「はい、わかりました」
「契約完了だな、ありがとう」
魔王はにっこりと微笑んだ。
「ちなみにその魔王城とやらにはどうやって行くんだ?」
「あぁそれは心配しなくても私の転移魔法で城へと送ろう」
「わかりました、どんな所かも見てみたいしとりあえず送ってください」
「了解だ。それでは行くぞ」
魔王(仮)が片手を俺の方に向けた瞬間、瞬きひとつする間もなくあっという間に俺は光に包まれて気づくと目の前には大きな椅子があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます