第4話 秘書エリーの意外な性癖

「なんだ…これは…」


 俺の第一声はそれだった。


 今、エリーさん(魔王の秘書)と共に魔界に大事な物を買いに秋葉原へと来ている……はずなのだが……


「あのーエリーさん?大事な物を買いに行かなくていいんですか?」


 そう、今俺達がいるのは秋葉原の某有名本屋。とても広く色々なジャンルの本が置いてある。


「んっ大事な物なら一ノ瀬君が持ってるではないか」


「えっ……これですか?」


 俺が持っているのはさっきエリーさんから渡された大量の本である。

 しかも内容を見てみるとBL、いわゆるボーイズラブと呼ばれるものだった。


「あぁそうさ、魔界にはそういう本がなくてね」


「まさかこんなものを買うためだけに俺を連れてきたんですか?」


「こんなものとはなんだ!ボーイズラブというのはな!………」


 場所をファミレスに移し、少し遅めの昼食を取っている間の一時間ほどエリーさんはBLの良さを語り続け、ようやく魔王城に帰ることが出来た。

 自室に辿り着いた時には夜の7時となっていた。


「まさか本当に本を買うためだけに秋葉原に行くことになるとは、しかも荷物持ちのためだけに……」


「というかエリーさんにあんな一面があったなんてなぁ」


 良さを語っている時のエリーさんはメガネをキラキラ輝かせ、ちょっと息を切らしながら淡々と語っていた。

 ちょっとエロかった……

 断じてロリコンではない。


 そんなことを考えていると、トントンと扉を叩く音がしてエリーさんが入ってきた。


「どうしたんですか?」


「夜食を持ってきたんだ」


「あっありがとうございます」


「それでだな……その今日はすまなかったな」


「いえ別に、仕事だと思えばそんなに気にしませんよ」


「そう言ってくれると有難い。魔王があんなのだからストレスが貯まるんだ。それでああいった本を読むことでストレスを解消している」


「そうなんですね。確かにあんなのが魔王だとストレスも貯まりますよねー」


「あぁ……たまにしか行くことは出来ないからその分大量に必要でね、1人で持つのは無理だから一ノ瀬君にも着いてきて貰おうと思ったんだが魔界に大切なものと言わないと着いてきてくれないと思ったからな」


「そのくらい言ってくれれば着いていきますよ」


「そうか、じゃあ今度から頼むよ。まあそういうわけだから今日はすまなかったな」


「夜食は食べ終わったらそこに置いといてくれ」


「わかりました」


 夜食を食べ終えた俺はベットに横たわる。

 今日は疲れていたのですぐに寝ることが出来た。


 エリーさんの意外な性癖がわかった1日だったな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る