概要
かつて別の名を持っていた極東の島国は、人種も人権も混じりあい、混沌とした空気をまとうようになっていた。
その国でまことしやかに囁かれるのは「アンドロイドと人間の間に生まれた存在」。
都市伝説の一つと思われた「彼女」は、殺し屋「カラス」の前に現れた。
「私を殺して」
少女の願いを叶えるために、殺し屋は銃を握りしめる。
鍵となるのは、歯車で出来た銃と、噂話で出来たネットワーク。
クソッタレ世界の全ての存在<イキモノ>に喝采を!
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!回された歯車を選ぶのは
主人公は殺し屋。ヒロインはロボットと人の間に生まれた存在。
本来なら噛み合うことの無い歯車が結びつけられ、運命という名のギアが加速するーーと、ありきたりな謳い文句を載せるならこうなるのでしょうが、本作のギアは違法改造でもされているのかというくらいの加速度で回り出します。
なにせいきなり最初からクライマックス。この結論に至る道程を追うのが、とても楽しい。
情報量が多くなりがちなSF作品において、まるで洋物映画でも見ているような爽快感を味わえるのは、ひとえに作者の文章力の高さと、登場人物達の軽妙洒脱な言い回しの巧さにあるのでしょう。
「全員口が悪い」のタグに偽りなく、出てくる人物は誰もが口が悪…続きを読む - ★★★ Excellent!!!そして歯車は回る
少女は殺し屋に依頼する。
「私を殺してくれる?」と。
現代でも新宿や池袋と言えば人が集まり、混沌とした様相を見せる。
それは、恐らくこの先も変わらないのだろう。
少女が持ち込んだ依頼は不可能にも思われるが、そんな依頼をこなすために、アンドロイドとヒトが並んで闊歩する混沌とした街を、互いに悪態をつきながら駆け抜ける。
皮肉の応酬は非常に軽快でノリもよく、読者を引き込んで離さない。
だからといって何でもありのコメディーショーで終わるわけでもなく、中盤を越えた辺りから、それまで断片のように散らばっていた人々の過去と思惑がすっとまとまってくるのが圧巻だ。
これを読んだ貴方も、組み込まれた歯車の一…続きを読む - ★★★ Excellent!!!エンターテインメントはこうでなくてはっ!!
※chapter.8時点でのレビューです。
月並みに言って、涙あり、笑いあり、アクションあり、ハードボイルドあり、毒舌あり、雰囲気あり、センスあり、遊びあり、ネタあり……
月並みに言えません。
活字でやるエンターテインメントのすべてが、ごった煮で煮えくり返って、噴きこぼれんばかりの勢いで迫って来る、強烈な作品です。何がいいって、文章から、作者がノリノリで書いている快活感がひしひしと伝わってくるところです。
エンターテインメントはこうでなくてはっ!!
とりあえず、読んでください。
ぼくはお金払ってでも読みたいです。
※完結まで読んだので追記。
最後の最後まで、息つく暇もなく楽し…続きを読む