和式神様のハイテンションな日常

あらすじと第1話を読む限り、道端に落ちていた神様(九年振り二回目)を拾って、アパートに住まわせる日常譚、ということらしい。これはいかにも、日本の神様で起こりがちなことだろう。決して、キリスト教圏やイスラム教圏では起こりえない出だしと言える。必ずしも神道に通じる描写ではないものの、古来よりあらゆる外来文化を取り込んで変質していった神道という概念にはかなり親和性があるようにも見受けられ、すなわちサブカル的なモノを吸収した神道にこのような神が出現しても驚かないだけの懐の深さが、我々日本人には備わっていると言うことだ。
話は常にハイテンションで進行する。いや、実際にはハイテンションとは違うノリなのかも知れないが、勢いで神様に対して不遜極まるセクハラを淡々と行う主人公の行動などから察するに、もうこれはコメディ時空なのだ。質の高いコメディ時空に放り込まれた読者が体験するのは、一人称視点で独白する主人公が時折やらかす突飛な事象に対しても、あたかもそれが自然なことであるかのように受容できる、謎のトランス状態だ。そういう意味で、この小説はドラッグに近いのかも知れない。

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