求めて、すれ違い、傷つけて。それでも人は恋をする

少年が年上の女性に恋をして、少しずつ大人になっていく。
その過程をとても丁寧に描いている恋愛小説です。

主人公は、小学5年生の篠原舜介と、隣の家に住む高校生の森谷五十鈴。

2人は片親である者同士、学校でいじめられている者同士、いつも一緒に色々なことを過ごしています。ゲームをしたり、五十鈴が作ったごはんを食べたり。

舜介は「恋なんてしない」と思っているけれど、ある日、気づいてしまいます。自分が五十鈴に抱いている感情——それこそが「恋」である、ということに。

でも、五十鈴は自分を子供としか見てくれず、その関係は舜介が中学生、五十鈴が社会人になっても変わらない。舜介は急いで大人になろうとして、女の子と関係を持っていきます。その結果、恋によって傷つく人をまた増やしてしまう……。

この小説は、舜介と五十鈴の関係はもちろんですが、脇役たちがとても魅力的です。

私は特に、舜介には自分よりも好きな人がいることに気づきながら、体の関係を持っていく「宮原さん」というキャラクターに心惹かれました。

ぜひ読んでみてください。素晴らしい作品です。

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