威厳と自信に満ちた王イスマーイールは、チャルディラーンの地で何を見たか

16世紀西アジアの二大大国であるオスマン帝国とサファヴィー朝イランが衝突した「チャルディラーンの戦い」。この敗戦は、強烈なカリスマと人望で勝利を重ね自信に満ち溢れたイランの王イスマーイール一世にとって、衝撃的な事件でした。その後、イスマーイールは政治への関心を失くし宮殿に籠るようになるのです。


過度に堅くなりがちな歴史モノを、カジュアルだが軽薄にはならない絶妙な文章でテンポよく書き綴られています。
ちょっと勉強の息抜きに……、と思っていたはずが、知らぬ間にページを次々とめくってしまい、なんと読み終わっていました。あらまあ。

ですが、スラスラ読めるといっても、中身がないわけではありません。むしろ、チャルディラーンの敗戦を通して描かれるイスマーイール一世の人物像や幼い頃から才能を発揮してきた王がおそらく初めて味わった挫折、そしてイスマーイールの悟った宿命は、味わい深く私たち読者の心に響くものだと思いました。

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