羅針盤は北を指さない
崩紫サロメ
第1話 Çaldıran 1514
「……
総崩れとなっていく我が軍を見ながら呆然とつぶやいた。
オスマン軍の立て続けの砲撃で馬まで暴れ出し、退却すら困難だ。
「救世主がお望みならば、
二つ年上の
私はシャー・イスマーイール。無謬の救世主。
私は北斗星。羅針盤が北を指すがごとく、あらゆるものが私に跪く。
だが、オスマンの羅針盤は北を指さなかった。
「感傷に浸ってないで打開策を練れと?」
「まことに恐れ多きことながら……御意」
赤き騎士は静かに頭を下げる。
戦場のチャルディラーン平原に再び目をやる。
サファヴィーの赤き騎士たちが、オスマンの大砲の前に散っていく。
美徳が、卑劣の前に。
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