終末世界を背景に、二人とも、二体とも言いがたいエウペとアシュの交流が描かれます。少し力を加えれば壊れてしまいそうな世界と、二人の心中は、やがて静かな結末へと流れ落ちて行きました。ポストアポカリプスというと、暴力的で荒廃した側面も強調されやすく、この作品にもそういったイメージは登場します。ただ、繊細で叙情的な雰囲気が全体を覆い、それが本作の大きな魅力です。寂しいと言えば寂しい、この世界観、でもどこか救いが残されており、読後感は少しだけ日が差すような暖かさもありました。普段SFを読まない方こそ、ぜひ読んでみて欲しい作品です。
ピュアな文章が最後にこころを動かします。それは、とてもシンプルで美しい世界でした。
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