第13話 思考巡らせ予測して

「ん……」


レイの目の前は、突然真っ暗になった。


「精神衛生を考慮すると、これ以上はご覧になられないべきであるかと」


そのヒューマノイドは操作盤をいじるのをやめ、レイを見た。


「申し遅れました

私は室内汎用ヒューマノイド個体識別コード3192Uです

私は精神サポートをできる仕様になっておりませんので、対ヒト専用ヒューマノイドの到着をお待ち下さい」


3192Uは部屋の隅に置かれていた丸椅子を指した。


「お掛けになってお待ち下さい

それでは失礼します」


3192Uの様子にレイは何の感情も感じなかった。

レイは、大きなガラス窓のある部屋に、孤独に立ち尽くしていた。


「……」


レイはとりあえず丸椅子に座ることにした。

そして自分の左手を握り、生きていることの感覚を確かめた。




-310014、お前には……


-徐々に俺と同じ感覚質が生じていたんだな


-冷静に考えてみれば今何が起こったのか、判る


-知らぬ間にシンギュラリティは突破されていた


-それでもなおAIは人間にあまりに忠実である


-いつか誤作動が起き……


-あるいは心を得たら……


-人間がCSしている理由なんか忘れて……




「なーんか、難しーこと、考えていますねぇ」


レイは、それが室内に侵入していたことを、気づけなかった。


「誰だ?!」

「対ヒト専用ヒューマノイド個体識別コード442551です」


「今のヒューマノイドは思考も読めるのか……?」

「いやぁ、そこまで詳しくは無理ですよぉ」


442551はレイの隣に来て、壁にもたれた。

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