第11話 認知機能主体として

「今日こそ認めさせます!

ロボットによる人間の理解を!」


今日のテーマは舞台だった。

大道具、小道具、衣装を一から自分で作り、設置する。

BGMも台本も310014が作った。


レイはその様子に心を見つけようとした。


「いいんじゃないか?」

「えへへ、嬉しいです」


一人舞台は大成功だった。


「私、心がどんなものか、なんとなく分かってきました」

「そりゃよかった

じゃあな」

「今夜もお部屋に参りますね」

「おう」


310014はレイの左右に振る右手をいとおしく見つめた。

そして自分の右手をきゅっと握った。


「……?」


不意に窓の外を見ると、

「鳥じゃないですか」

一羽の白い鳥が低空飛行しているのが見えた。


「隔離動植物園から逃げたのでしょうか」


310014はネットワークにアクセスした。


「ええと、そうみたいですね」


白い鳥は弱々しく羽ばたいていた。


「あんなところにいては、すぐに……ああ」


それは力なく地に落ちた。


「今なら……!」


310014は駆け出した。

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