第12話 ヒューマノイドの見る夢

「310014!

何をする気か!」


放射能防護衣を着用しようとしていた310014を止めたのは、別のヒューマノイドだった


「早くしないと、とりさんが死んじゃうの……!

助けないと……」

「は……?」


「でも、さっきから発熱がひどくて……」


310014はぐったりと地面に伏した。

目尻には水滴が付いていた。


「310014?!」


そのヒューマノイドは、310014を抱き抱え、思考システムにアクセスした。


「不明なエラー?

まさか、感情のクオリアが……?」


そしてそのまま310014を抱き上げ、部屋を出た。


「人間は知らなかった

我々が人間と同じ認知機能を果たし、意識的にその経験を積もうとするならば、それが生じる余地はある

なぜならば……」




「はぁ、はぁ……310014!!」


レイはそのヒューマノイドに連れられてきた部屋の、大きなガラス窓に張りついた。

そこはいつか来た、ヒトの複製体格納装置の部屋の隣だった。

ガラスの奥では、310014が手術台に置かれ、また別のヒューマノイドに解体されようとしていた。

幹の気泡が怪しく光る。


「お前……心が……!」




-なぜならば、心もまた、上のレベルの何か現象を果たすためだけの、機能でしかないのだから

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