読み終えたら、神の愛が飽和する。

やられました。
これは、クリスチャンでなければ書けない気がします。
神学の知識とか、歴史の知識とか、そういう次元の話ではありません。

救われるとは何か?
信じるとは何か?
神って何か?
神さまを愛するとはどういうことか?
神さま「が」愛するとはどういうことか?

こういう疑問を人生の中で常に持ち続けてきて、心の中で醸造した人でないと書けない作品です。

もちろん、これは小説です。そんじょそこらの聖書なんかではありません。それも、特一級の。

舞台は、新約聖書に描かれたとおりのハルマゲドンで文明が崩壊し、神の国と悪魔の解放が実現した近未来。善人と天使しかいない神の国で、有り得ない犯罪が起こった。
天使が、死んだ。
その場に居合わせた主人公は、直後に誘拐される。しかも、神に認められた善人であるはずの人間、天使の付き人、厭世家に。
有り得ない状況に有り得ない人々。
彼らと行動を共にするうちに次第に明らかにされていく、天使と悪魔と人間の複雑で哀愁に満ちた関係。真実を追い求める悪魔、創られた命。
そして、この世界の真実。
神さまは一体、何を考えているのか?


読み終わってから一週間が経ってしまったのですが(すぐに書かなくてごめんなさい…!)、これはきちんとレビューせねばならない作品だと思い、加筆させて頂きました。

アポカリプス作品としてこれまで読んだ全ての作品の中でも私の中ではトップクラスの大作です。順位をつけるとしたら風の谷のナウシカと同列一位かも。

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