三国志というよりは水滸伝。好漢たちが大河を挟んで繰り広げる一大攻城戦!

時は南宋時代。中国大陸の中心地の要衝、襄陽を狙って北から五十万の金軍が攻め込んで来た。
迎え撃つは宋精鋭の正規軍……かと思いきや、なんと寄せ集めの襄陽在住の地方兵三千人。
果たして襄陽軍は、北から迫りくる金軍を防ぐ事ができるのか!

主人公格は2人。
まずは大河の南の襄陽軍の1卒、趙萬年。襄陽軍の中核を成す趙家軍を勝利に導くため、個性的な仲間と共に戦いに身を投じます。
そして大河の北の金軍の1将、道僧。自らの立場や戦いの意義に悩みながらも、決着を求めて行動を起こします。

この絶望的な戦いの決着やいかに。
そして、未だ自らが何者かも定まっていない2人の若者が、否も応もなく「戦場」という舞台に立たされて辿り着く結末やいかに。


戦場・先頭をテーマにしたお話ですが、描かれているのは「個」からの視点。
両陣営の人物たちが、何を考え、何を求めて行動するのか。
その心情や出来事がダイナミックに、そして、繊細に語られます。

中国史が舞台のお話で有名な物と言えば、「三国志」。
このお話の舞台となる襄陽の場所は、三国志で劉備が「髀肉の嘆」の故事の元になった出来事を経験したあたり。
曹操に追われ、劉表の元へと敗走し、いよいよこれから諸葛亮に出会う事になるあの辺りです。

そして、もうひとつは「水滸伝」。
個性豊かな将たちが、大騒ぎをしながら梁山泊に結集し、戦いを繰り広げていくお話。

本作は、どちらかといえば三国志よりも水滸伝寄り。「軍」というよりは、「個」にフォーカスした戦記物です。
上記の歴史モノがお好きな方であれば、ぜひ。

とはいえ、歴史モノが苦手な方でもご安心を。
本作の魅力的なキャラクターたちが、それぞれの立場に従って起こすアクションとその結果。
それを見ているだけで、存分に楽しめるお話です。

つまりは、「いいから読め。人物名が漢字なのが苦手とかいってないで読め。慣れる頃には超面白いから」って作品です。
ぜひぜひご一読を。

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