古代ローマにおいて甘味は蜂蜜であったそうです。どこかで読んだ本では、パンに蜂蜜ぶっ掛けて食べるのがローマ人のお気に入りだったとか。
……ねっとりしていて甘い。そんな蜂蜜のような要素を、このヒーローであるヒルベウスは持っています。
古代ローマのある時代。
ある事情でローマにやってきたレティシア。彼女は同行者に襲われてしまう。
ある裏切りに衝撃で傷ついた元老院議員の息子・ヒルベウス。彼は襲われかけたレティシアを助ける。
だというのに……。
ヒルベウスはトラウマが発動し、何も関係ないレティシアに暴言を吐いてしまう……
最初からすれ違っているこの二人が、どんどんと惹かれ合うさまが魅惑的に描かれています。でも、読み進めていくうちに、ヒルベウスの傷もさることながら、健気だけれどもたまに二重人格のように気性が激しい女の姿を見せるレティシアの傷の深さに圧倒されました。
ヒルベウスの傷も、レティシアの傷も、かなり深いもので。
ふたりは傷を癒しあうどころか、すれ違っていき……。
どうなってしまうのかとハラハラしながら読みました。
なによりなにより、先ほども言いましたがヒルベウスがねっとりしていて甘いのです。独占欲も強いし、やきもちも職人レベルの技で焼きます!(焼き餅焼き職人〜……)
それをそそってしまうレティシアの絶妙な魔性。誰にでも優しい彼女は、本来の健気な性格も相まってヒルベウスの焼き餅焼きに火をつけてしまいます。
それがなんとまあ、はたからみれば()クスクスと笑えておもしろかったことでしょう!
古代ローマ舞台の溺愛もの。あまーいあまーい舌に残る恋愛を読みたい方にオススメです。
恋愛モノの舞台って、いくつか分類されるじゃないですか。
現代、西洋、中華、和風。あと、転生しちゃうものもありますね。
さて。
こちらの作品は、いうならば『古代ローマもの』です。
両親と死別したレティシアは、母方の縁を辿って首都ローマにやって参ります。
そこで暴漢に襲われたところを救ってくれたのが、ヒルベウス。彼は、ローマの元老院議員階級の青年です。
ヒルベウスのかっこよさと、さらっと吐いちゃう甘々な言葉に、レティシアならずとも、心を射貫かれることでしょう。
また、主人公であるレティシアも良い。
彼女はただの美しい少女ではなく、「医療知識」を持った自立した子です。
芯も強い。
この二人がもう。
古代ローマを舞台に恋愛を繰り広げるわけですよ。
あまあまの、いちゃラブを!
また、この作者様。
ローマについて造詣が深い。深いだけでなく、描写もお上手。読んでいるうちに、古代ローマの都市が目に浮かぶようです。
私は現在本編を読み終わったところですが……。
この作品、なんと、番外編というおまけも用意されています。
ぜひぜひ、皆様も、ふたりの恋路を温かく見守って下さいませ。
最悪の出会いから始まった二人ですが、互いに知れば知るほど惹かれ合う、とてももどかしくも甘い恋愛話です!
お互い惹かれているのに、特にレティシアの方はそれをなかなか認められず(気付かず)にもだもだするあたりが、とても焦れったくも愛しいです。
お互いに信念を持ちながら行動するカッコ良い二人ではありますが、それぞれ大きな傷を抱えています。
それが噴出した時の絶望はとても苦しいですが、それでも彼らは彼ららしさを忘れず、それを乗り越え、互いを求め合った時の感動といったらありません。
そして、ヒルベウスからの二度目のプロポーズ!
もう一度、求婚させてもらえないか。
この台詞に落ちない女性はいません!
途中でもどかしく、切なく、ハラハラしつつも、最後は必ず甘い幸せを約束します。
古代のローマにどっぷりつかりながら、是非とも二人の素敵な軌跡を辿ってみて下さい!
暴漢に襲われそうになった女性医師レティシアはヒルベウスに助けられる。
ヒルベウスがローマまで送ってくれる間、レティシアは彼と縁戚であると知るのだが……。
七つの丘のローマを想像するだけでも、とてもワクワクしました。
レティシアとヒルベウスの心情描写も丁寧で分かりやすいですし、古代ローマの身分制度やメダル、インスラのことなども説明されていて、ローマの雰囲気が出ていました。
二人の出会いは最悪でしたが、だからこそ、関係が解れてどんどん良い間柄になっていくのが嬉しいと感じました。
レティシアも精錬で賢い女性、ヒルベウスもカッコイイですし……応援したい二人で、どきどきワクワクの恋愛ファンタジーです!
レティシアは古代では希少な女性医師。病人や怪我人がいると知るや、プロとしての「医者」の顔になる。持ち前の気丈さと、時には医学の技を駆使して困難に立ち向かう姿は読んでいて何度も応援したくなりました。
彼女の前に現れる元老院階級の青年ヒルベウスは、レティシアを売女と決めつけて酷い言葉を投げつける。出会いはまさに「最悪」。それなのにヒルベウスが彼女に求婚してしまう展開は自然で説得力があります。
真面目でスクエアな堅物だけど、恋愛となると一途に突っ走るヒルベウス。ある出来事のせいで自分を無価値だと考えているレティシア。強引なリードに戸惑い、身分差と暗い過去のせいで最初は頑なに拒否しつつも、彼女が少しずつヒルベウスに惹かれていく過程は女性なら共感するのではないでしょうか。
2人の関係はヒルベウスの視点からも描かれ、恋に落ちた男の激情と葛藤が丁寧に語られています。
古代ローマの生活や風俗はもちろん、諸部族との関係など政治的な側面もとても分かりやすく書かれていると思いました。伏線を駆使しつつスピーディーな展開でラストまで駆け抜ける筆力は見事の一言に尽きます。
古代ローマ好きはもちろん、恋愛小説好きならハマること間違いなし!
医師だったギリシャ人の父と、ローマ人の母の間に生をうけたレティシアは、立て続けに両親を喪い、母親の親族を頼って故郷の村を後にした。医師としての教育を父から受けて育った彼女は、気丈な女性だが、美しい娘には危険がいっぱい……。ローマ人元老議員の別荘の庭先で襲われかかった彼女は、通りかかったその家の嫡男ヒルベウスに助けられる。ところが、初対面でヒルベウスが彼女に放ったのは、とんでもない暴言だった……
つい主人公二人の動静に目を奪われてしまいますが……古代ローマの社会、身分制度や風俗、医学はもちろん、衣食住や軍事、周辺諸族との関係まで、詳細に描かれていて、安心感がありました。その上で描かれる、レティシアの医師としての使命感に好感がもてます(応援したくなります)。彼女自身が抱えた心の傷や、ヒルベウスの兄弟間の葛藤、それらが解決に至る経緯も、納得のいくものでした。
そして、全編を通して描かれるロマンスが……甘いです。トキメキます。恥ずかしくなってきます(←誰が?)。
読後感も甘々で、楽しく読ませていただきました。お幸せに〜。
古代ローマのロマンス物語ということで、読み進めていくうちにもう頭の中で、愛に気付いて~僕が抱きしめてあげる~的な音楽が鳴りっぱなしでございました。
まさに、ロマンスどぱどぱ垂れ流しの大放出状態!うっかりあてられてしまいましたぜ、こいつは……。
ヒロインのレティシアさんが甲斐甲斐しく気丈に立ち振る舞いつつも、時に乙女な感情をのぞかせてきたりして、非常にキュンキュンしちゃいました。一方のヒルベウスさんも、ただの武骨な益荒男野郎かと思いきや、ふとした場面で見せる独占欲や嫉妬マンな様子に、おやおやフフフ、あなたも男の子だったのね……と、息子の部屋でえっちい本を見つけた時の母親のような(?)微笑ましい気分になったりして……。後半なんかもう、独占欲完全開放マンになってますしね!
ファーストコンタクトは最悪!というのは、ラブコメの王道展開の一つではありますが、満足のいくエンディングを迎えるためには、やはりそこからのドラマの織り成し方が肝なんですね。
途中の展開とか各章のタイトルを見て、あら?え、これ、最後大丈夫なの……?とヤキモキさせられたりもしましたが、個人的には納得のエンディングを迎えてくれて、よかったよかったエッサホイサの一安心でした。
そして、古代ローマ時代の文化やら民族やらの描写が非常に巧みで、紀元前ヨーロッパについては漫画ヒストリエ程度の知識しか持っていない私でも、違和感なくスラスラと読むことができました。これは、作者様のローマ愛と執筆のスキルが為せる業なのでしょう。あっぱれでございます!
王道のラブロマンスを望む方にとっては、これ以上ない珠玉のラブストーリーであることは間違いありません!さあ、あなたも古代ローマの遠大な風景に想いを馳せつつ、ロマンスの神様とFall In Loveしちゃいましょう!
ヒロイン、レティシアには呪いがかかっている。
……と言っても、呪術などでいう呪いではない。
ネタばれになってしまうから、ここでは詳しく書けないけれど、ヒロイン自身が自分にかけた呪い。
その呪いを破って、レティシアを解放してくれるのが、ヒルベリウスの愛。
もうなんてロマンチックなんだ!
正直言って、イケメンが良い思いをするのは憎たらしい。
だけど、美しく健気で、傷ついた人を放っておけないレティシアを救えるのはヒルベリウスしかいない。
嫉妬に身もだえしながら、応援するしかないじゃないか。
レティシアがあまりに可愛いから、私は途中からレティシアの父親や兄のような気分で読み、二人の仲が深まるのを邪魔したかったですよ。
十六万字を越える作品でありながら、読後、そんなにあったかな?と思わせてくれる展開の妙味。
古代ローマの風俗をくどくない程度に、そして世界観をしっかり味あわせてくれる描写。
同じく文章書いている私は、作者さんの力量を羨ましく感じた。
私と同様に、嫉妬の炎に包まれる悪い大人か、それともヒロインの愛を応援する善人か?
一気に読んで、是非、ご自分の属性を確かめていただきたい。
もし、私と同じタイプなら、一緒にコンチクショー!と悔しがりましょう!
古代ローマ時代を舞台とした、ラブロマンスです。
この物語の魅力はたくさんありますが、なんと言ってもヒロイン、レティシアの誇り高く、かつ健気なところが個人的にツボでした。
彼女は自分を呪われた身だと思っているので、自分に自信がなく、一歩引いた態度です。平民という身分も、彼女を(悪く言えば)卑屈にさせてしまっていると思います。彼女は自分を抑える続ける、健気な女性なのです。
それが、「人のために」「医師として見逃すことができない」となったとき、彼女は強くなります。誇り高く、まっすぐに行動します。それは絶対に危険だとハラハラするのに、彼女の言動が爽快にすら感じられるのです。
そして、ヒーロー、ヒルベウス。
タイトルには「『傲慢な』求婚者」とありますが、それはレティシアが初めに抱いた印象というだけで、ヒルベウスは決して傲慢な人間ではありません。それどころか……。
あまり書いてしまうとネタバレになってしまうので、この続きは直接お読みになって、是非、ヒルベウスの格好良さを堪能してください!
心に傷を負った女医のレティシアは両親の訃報を知らせるためにローマにやって来る。
そのとき、不逞の輩に襲われて……助けてくれたのはヒルベウス。
意外な関係を知らされたレティシアはヒルベウスの庇護下に置かれる。
気が付くと惹かれ合う二人。
しかし身分の差はどうにもならず、真に受けてはいけないと言い聞かせるレティシアと、どうにも気持ちが伝わり切らずにヤキモキするヒルベウス。
そこに現れる因縁のある異母弟。
兄妹同士の確執。誤解にすれ違い。そこに来てレティシアが攫われる羽目に。
時に、お願いだからジッとしてて! そんなことしたらヒルベウスが誤解するから! 心配するから! とハラハラする一方で、その強い信念に従って行動するレティシアに惹かれて行きます。
甘々だけではありません。ハラハラもありながら強い一念に貫かれた物語。是非ご一読を!
女だてらに医者としての道を突き進む平民のレイティシアと、実直すぎて面白みに欠ける元老院議員の子息ヒルベウス。
二人の恋の行方を軸に、古代ローマの生活やゲルマン人の反乱軍との戦い、そして家族の確執という様々なテーマが散りばめられた読み応えたっぷりの壮大な物語です。
婚約者の浮気現場を目撃してしまったヒルベウス、尊敬する父の事故死がきっかけで住み慣れた土地を離れてローマへ向かったレイティシア、それぞれに心に抱える苦悩があり、それによって二人の距離が近づいたり離れたりと巧みに読者を翻弄します。
二人の恋の行方には、ヒルベウスの家督争いやローマに反旗を翻すゲルマン人達の謀略なども絡んできて、そちらの展開もハラハラドキドキ。
様々な要素が伏線となって後の展開に重要なキーになっていくのもお見事です。
けが人を見ればそれが誰であろうとどこであろうとも放っておけないレイティシアが様々な事件の起きるきっかけとなり、そんな彼女に翻弄されながらも燃え立つような情熱を彼女に抱くヒルベウスが力強く彼女を守る、そんな王道の展開に乙女心が何度となく高まりました(笑)
番外編まで読んでもまだまだ先が気になって仕方ありません!
ぜひ二人のさらなる未来を見せていただけたらと思います(*^_^*)
気高き王子ヒルベウスと父の意志を受け継ぐレティシア。
古代ローマを舞台に繰り広げられるラブロマンスの装いです。
ヒルベウスは気高く、プライドの高さも相まって傲慢ではある。
けれど、裏切りや罪の意識に怯えた弱さも見せる、魅力的な人物だ。
レティシアは、医者として、人としての正しさを貫き続けている。
愚かであるほどに真っ直ぐだが、根底にある思いは恣意的に歪められて、強迫的ですらある。
古代ローマの描写はとても微細な欠片まで描写されているようで、見たこともない景色を体感させる。一種の追体験に酔いしれる。
幾許かの戦禍を乗り越えてきた、永年にわたる絵画のような。
優美で複雑なロマンスに、心が呻くことを止められない。
美しいものは、美しい。