ロマンは一話にして成らず……

古代ローマのロマンス物語ということで、読み進めていくうちにもう頭の中で、愛に気付いて~僕が抱きしめてあげる~的な音楽が鳴りっぱなしでございました。

まさに、ロマンスどぱどぱ垂れ流しの大放出状態!うっかりあてられてしまいましたぜ、こいつは……。

ヒロインのレティシアさんが甲斐甲斐しく気丈に立ち振る舞いつつも、時に乙女な感情をのぞかせてきたりして、非常にキュンキュンしちゃいました。一方のヒルベウスさんも、ただの武骨な益荒男野郎かと思いきや、ふとした場面で見せる独占欲や嫉妬マンな様子に、おやおやフフフ、あなたも男の子だったのね……と、息子の部屋でえっちい本を見つけた時の母親のような(?)微笑ましい気分になったりして……。後半なんかもう、独占欲完全開放マンになってますしね!

ファーストコンタクトは最悪!というのは、ラブコメの王道展開の一つではありますが、満足のいくエンディングを迎えるためには、やはりそこからのドラマの織り成し方が肝なんですね。
途中の展開とか各章のタイトルを見て、あら?え、これ、最後大丈夫なの……?とヤキモキさせられたりもしましたが、個人的には納得のエンディングを迎えてくれて、よかったよかったエッサホイサの一安心でした。

そして、古代ローマ時代の文化やら民族やらの描写が非常に巧みで、紀元前ヨーロッパについては漫画ヒストリエ程度の知識しか持っていない私でも、違和感なくスラスラと読むことができました。これは、作者様のローマ愛と執筆のスキルが為せる業なのでしょう。あっぱれでございます!


王道のラブロマンスを望む方にとっては、これ以上ない珠玉のラブストーリーであることは間違いありません!さあ、あなたも古代ローマの遠大な風景に想いを馳せつつ、ロマンスの神様とFall In Loveしちゃいましょう!

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