こ……これが蜂蜜系男子と無自覚魔性の女医か……

古代ローマにおいて甘味は蜂蜜であったそうです。どこかで読んだ本では、パンに蜂蜜ぶっ掛けて食べるのがローマ人のお気に入りだったとか。
……ねっとりしていて甘い。そんな蜂蜜のような要素を、このヒーローであるヒルベウスは持っています。

古代ローマのある時代。
ある事情でローマにやってきたレティシア。彼女は同行者に襲われてしまう。
ある裏切りに衝撃で傷ついた元老院議員の息子・ヒルベウス。彼は襲われかけたレティシアを助ける。
だというのに……。
ヒルベウスはトラウマが発動し、何も関係ないレティシアに暴言を吐いてしまう……

最初からすれ違っているこの二人が、どんどんと惹かれ合うさまが魅惑的に描かれています。でも、読み進めていくうちに、ヒルベウスの傷もさることながら、健気だけれどもたまに二重人格のように気性が激しい女の姿を見せるレティシアの傷の深さに圧倒されました。
ヒルベウスの傷も、レティシアの傷も、かなり深いもので。
ふたりは傷を癒しあうどころか、すれ違っていき……。
どうなってしまうのかとハラハラしながら読みました。

なによりなにより、先ほども言いましたがヒルベウスがねっとりしていて甘いのです。独占欲も強いし、やきもちも職人レベルの技で焼きます!(焼き餅焼き職人〜……)
それをそそってしまうレティシアの絶妙な魔性。誰にでも優しい彼女は、本来の健気な性格も相まってヒルベウスの焼き餅焼きに火をつけてしまいます。
それがなんとまあ、はたからみれば()クスクスと笑えておもしろかったことでしょう!

古代ローマ舞台の溺愛もの。あまーいあまーい舌に残る恋愛を読みたい方にオススメです。

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