改行位置を一つ変えても狂ってしまう美の世界

古代の人は詩を「うた」つまり、音とリズムと意味を持つものとしてとらえました。

しかし、詩が紙に記されるようになってから、詩は目で見るものにもなりました。平安時代の人々は、文字の美しさや紙の選び方自体が、詩への評価となりました。

デジタル時代になると、改行位置や字数も詩の「美」の一要素となります。

この連作の全てではありませんが、その多くにそうした様式美へのこだわりがあり、改行位置を一つ変えただけで崩れてしまう危うさの上に、狂った世界が成り立っています。

「詩」というものを普段は読まないという人にも、こんな世界があるのだ、ということでお勧めしたいです。