なんで記憶が……二つあるんだ? 多世界解釈的SFオカルトサスペンス 七ツ海星空
文科系サークル映画研究会に所属する大学生磯野。彼は、八月七日を境に奇妙な世界に迷い込んでしまう。色彩が薄く、無人・無音の空間。その異世界との接触以降、超常現象に巻き込まれていく。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※12話×2部の計24話完結を目指し連載中です。1話あたり2万字で更新します。
目次
連載中 全235話
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- プロローグ
- 00-00 主な登場人物
- 00-01 八月七日一〇時二一分三七秒
- 二つの世界の螺旋カノン
- 01.八月七日
- 01-01 なにを見ているんだろう
- 01-02 俺ひとり安堵していればそれでよいのだ
- 01-03 また演技できてよかったじゃない
- 01-04 女子高生とは実に良いものである
- 01-05 おまえら本当に友達なのか?
- 01-06 異常なのはこの世界のほうだ
- 01-07 ダメだ考えろ。思考を止めるな
- 01-08 この場所から離れてはいけない
- 01-09 だから寝ぼけてただけじゃないの?
- 01-10 なんで記憶が……二つあるんだ?
- 02.オカルト研究会 八月七日の奇妙な夢の翌日、いつも通り部室を訪れると別のサークルに変わっていた。そして――
- 02-01 あ、磯野さんじゃないですか
- 02-02 俺はあの夢のなかでなにをした?
- 02-03 それは本人に訊けよ
- 02-04 だから期待してねえし
- 02-05 そもそもそれって本当のことなの?
- 02-06 やわらかい……とか言ってる場合じゃない!
- 02-07 気を悪くしないで聞いてくれ
- 02-08 わたしは本当に心配だったんですよ
- 02-09 いや、そうじゃなくてだな
- 02-10 訊きたいのはこっちのほうだ
- 03.霧島千葉 映研部室の前で現実世界に戻ってきたことに安堵する礒野。だがそこへ、訪れるはずの無い人物と遭遇する。
- 03-01 絵、描くの?
- 03ー02 さっきはすまなかった
- 03-03 いやおっさんじゃねーよ、おにいさんだよ
- 03-04 俺、見ないから
- 03-05 すげえな、俺より速いぞ
- 03-06 いやいや半年なんて待てねえぞ
- 03-07 やっぱり病院に連れて行ったほうが良かったんですよ!
- 03-08 それに高二ならセーフだろ
- 03-09 お節介焼きですが
- 03-10 頭おかしいんじゃないかな俺
- 04.二つの世界 未だ残る数々の疑問ともう一つの人生の記憶に苛まされる中、礒野は再びオカ研世界へ迷い込んでしまう。
- 04-01 なんでわざわざ部室までやりに来るんだよ
- 04-02 さすがに草生えるわ
- 04-03 全くもって些細な問題だな
- 04-04 ば、馬鹿なこと言わないでよ!
- 04-05 ちばちゃんも見た?
- 04-06 磯野さんが書くときにバッて感じで
- 04-07 磯野がね、なんかおかしい
- 04-08 やっぱり文字がちがう……かな
- 04-09 か、会長、落ち着けって
- 04-10 これが本当なら本気でヤバいぞ
- 05.もう一人の磯野 超常現象を目の当たりにしたオカ研面子。磯野は今まで身に起きた出来事について打ち明ける。
- 05-01 どこから手をつければいいか
- 05-02 異世界とは別の世界に飛ばされそうですしね
- 05-03 そんな物騒なもんじゃないって
- 05-04 昨日の記憶はまったくないの?
- 05-05 二重人格とかすごい面倒くさい
- 05-06 お金だよ! ほしくないの? 偽善者だな!
- 05-07 行方不明とか以前の話なんだね
- 05-08 あんたちゃんとわかってんの?
- 05-09 オカルト並に謎な現象だったんだが
- 05-10 映画かあ、ちょっとうらやましいかも
- 06.撮影旅行 オカ研メンバーとの協力体制が整った翌日、映研世界に戻された磯野は撮影旅行に参加することになる。
- 06-01 人呼んどいておもてなしの気持ちとかないんですか?
- 06-02 いつも確認してますからね。バッチリです!
- 06-03 磯野ー、あれ友達だよ、あれ
- 06-04 ちょっと……それってどうなの
- 06-05 様子を見にきただけだから
- 06-06 高木って誰だよ!
- 06-07 いやあ、すみません
- 06-08 お父さんのこと、許してないんでしょう?
- 06-09 嬉しいなあ! 忘れないでくださいよ
- 06-10 お前の様子は変ではあったが
- 07.ボーイ・ミーツ・ガール 協力者となった柳井の指摘によって、礒野の身に起こった超常現象の原因が浮かび上がる。
- 07-01 なんで? ……どうして、磯野くんが
- 07-02 このまま電話相手を待つべきだろうか
- 07-03 たった一度の失敗でそんな顔してたら、救えるもんも救えなくなっちまうだろう?
- 07-04 こんな事態なのに冗談なんか話さないでしょ?
- 07-05 磯野、まだ入れ替わりまで時間はあるのかい?
- 07-06 つまり、霧島榛名は、なにかを隠している?
- 07-07 ……お前、量子コンピューターみたいなやつだな
- 07-08 この量が一瞬で現れたのか……しかも、ページまでめくられて……
- 07-09 えっと……抱き心地、悪くなかったぞ
- 07-10 竹内は興味津々になると、乙女のように目が輝くなあ
- 08.インフレーション 色の薄い世界へ再度迷い込んだ磯野はその中で霧島榛名と接触、しかし置き去りにしてしまう。そして再びオカ研世界へ。
- 08-01 すごくいい匂いするぞ
- 08-02 このバッファはなんとも焦れったいな
- 08-03 ちょっと磯野、なに笑ってるの
- 08-04 ウォーターパークていねプールだ
- 08-05 わたしも行く
- 08-06 俺が真剣に考えているときになに口走ってるんですか
- 08-07 いま少し考えただろ
- 08-08 ああ、さっきノートの実験メモに書いてあったな
- 08-09 これは面白い。つまり、正確には
- 08-10 まったく皮肉なことにね
- 09.彼女の理由 三馬によって世界の切り替わり日時の法則が明らかになった。そして「文字の浮かび上がり現象」の仕組みについての推測をはじめる。
- 09-01 とても疲れそうですね
- 09-02 腑に落ちない……ですか?
- 09-03 じゃあまた今度ということで
- 09-04 親の顔がみてみたいな
- 09-05 それはいいです
- 09-06 あなた疲れてるのよ
- 09-07 言っていいことなの?
- 09-08 父親の顔見たくなくてね
- 09-09 お姉ちゃんのこと、どう思いますか
- 09-10 絶対に救い出してやるからな
- 10.ドッペルゲンガー ちばちゃんの話で榛名の過去が明らかになった。部室に戻ると、竹内千尋が磯野のドッペルゲンガーと遭遇したと言う。
- 10-01 磯野のリアルラック頼りだが
- 10-02 大変なことになったね
- 10-03 何かの意思がはたらいていることになるだろう
- 10-04 4、3、2、1――
- 10-05 焦る気持ちはわかるが
- 10-06 さすがに二日分のアドバンテージはでかいな
- 10-07 あまり思い詰めないでくださいね
- 10-08 この人と会ったことがあるような気がするんです
- 10-09 柳井さんと趣味も気も合うと思います
- 10-10 この世界についての話をしよう
- 11.二つの世界の螺旋カノン 磯野はとうとうちばちゃんの大学ノートを手に入れる。ノートを読んだ磯野は霧島榛名を救い出すため一つの決断をする。
- 11-01 バートランド・ラッセルはあの世でどんな顔をするんだろうな
- 11-02 なんだかSFじみてきただろう?
- 11-03 まさに量子世界のような不思議な現象を説明されている気分になってしまうな
- 11-04 柳井、君がいて、私がいるからだよ
- 11-05 君は二つの世界の螺旋カノンを、今も渡り歩いているのだろう
- 11-06 彼女の手を絶対に離さないことだ
- 11-07 ……けど、もし榛名さんに、姉に会ったら……よろしくお願いします
- 11-08 ちゃんと、探し出さなきゃ
- 11-09 目の前にいるけど、いるんだけど
- 11-10 ……なんなの。なんなの本当に
- 12.八月三一日二一時二四分三二秒 世界の危機の阻止のため、磯野はドッペルゲンガーとの接触に成功する。だが霧島榛名との遭遇は適わないまま再びオカ研世界へ。
- 12-01 次の入れ替わりはいつになる?
- 12-02 俺が寝てるあいだに、イタズラ書きなんぞしとらんだろうな
- 12-03 いまの磯野は悩みごとだらけだったな
- 12-04 やっぱりマズいと思います
- 12-05 その顔はダメだと思う
- 12-06 寝れるときに寝て、食えるときに食って備えろ
- 12-07 これを書いた榛名は、どっちの世界の榛名なんだろうね
- 12-08 ただの観光になっちゃったね
- 12-09 札幌市の地図ですか?
- 12-10 これより『柳井のぼっちローラー作戦』を開始する
- 12-11 思いっきりプレッシャー感じて、榛名を、取り返してきなさい
- 12-12 よし。それじゃあ行ってこい!
- 12-13 おまえを待っている、みんなとともに
- 星降る世界の螺旋カノン
- 13.三つ目の世界 八月三一日、柳井のぼっちローラー作戦により霧島榛名を見つけだした磯野は、彼女につかまえられないまま、新たな世界へと迷い込む。
- 13-01 俺は……どうすればいい?
- 13-02 いっきに駆け出せ
- 13-03 どのプラットホームへ上がればいい?
- 13-04 振り向かないで
- 13-05 勘弁してくれよ……
- 13-06 気をつけてください。この数分で仕掛けてくるはずです
- 13-07 け イ 告――じ ゆ ウ ビ ょ ウ
- 13-08 ******――***……
- 13-09 なにかが変わったのだろうか
- 13-10 もう一度、俺は、
- 14.白い部屋 動き出した「色の薄い世界」。謎の殺し屋たちに命を狙われ、霧島榛名と名乗る女性と出会い、失い、そして何者かに捕らえられてしまう。
- 14-01 三日経っても帰ってこないって……やっぱり、なにかあったのかな
- 14-02 俺は……人ひとり救うことも出来ないのか
- 14-03 あの子は、ちがうんだ
- 14-04 すこし面倒ではあるがね
- 14-05 ちょっと待ってください。俺には、なにがなにやら
- 14-06 約束していただけるのでしたら、いくらでも協力します
- 14-07 ばびばとう
- 14-08 あいつを殺すことだけを考えろ
- 14-09 良い旅を
- 14-10 おまえは、誰なんだ?
- 15.彼女の名前 人工島へと連れてこられた磯野は、再会した真柄に世界を救うよう説得される。ある晩、命の恩人からの電話の依頼で霧島榛名の救出に向かうが……。
- 15-01 あのとき、なぜ俺を助けた?
- 15-02 研究所に留まってくれないか?
- 15-03 けどね、死ぬ経験ってのは、出来ればしたくないものなんですよ
- 15-04 先に行け
- 15-05 ……ああ、これじゃあ、ダメだ
- 15-06 いいんだ、大丈夫
- 15-07 はじめまして。イソノさん
- 15-08 それは無限の力では無い
- 15-09 彼女を紹介しておきたい
- 15-10 戸惑った記憶がある、と言ったほうが正確なのだろうが
- 16.メッセージ 研究施設からの脱出を果たし、ライナスという米国人に匿われる磯野。電話の主と、榛名の容姿をした彼女の正体を告げられる。
- 16-01 たった一人の生死を、そんな理由で勝手に決めつけやがって
- 16-02 あのとき、わたしに言ってくれましたよね
- 16-03 それを最初から解っていたから
- 16-04 おそらく、日本政府側がすでに確保しているだろう
- 16-05 我々の目論見は露見してはならない
- 16-06 わたしも霧島榛名の説得に協力します
- 16-07 きみにこのようなお願いをするのは、なんとも筋違いなのだが
- 16-08 俺たちのことを知っているんですか
- 16-09 我々って……俺たち間に合わないじゃないですか
- 16-10 わからないよ。なんだよ、その約束っていうのは
- 17.襲撃 霧島榛名の手がかりを突き止めたハルと磯野は、新東京駅に向かっている彼女の後を追う。動向を察知したCIA、警視庁および、KGBもまた動き出す。
- 17-01 ZOEも直接、榛名をサポート出来ない?
- 17-02 いまは、なにも無いことを祈るのみだ
- 17ー03 彼らが、それを望んでいるならば話は別ですが
- 17-04 なにぼーっとしてるんだ俺は
- 17-05 たのむ。やめてくれ
- 17-06 ――ありがとう、ハル
- 17-07 撃つなら正確に、ここを狙え
- 17-08 いまは、その名前だけわかれば大丈夫
- 17-09 あのグラフのようになるんだよ
- 17-10 約束……しましたから
- 18.ニセモノ 新東京駅襲撃事件から、人工知能ZOEによって千葉県内のショッピングモールへと匿われた磯野と榛名。身を隠している間、二人はやっと再会を喜ぶが……。
- 18-01 俺と、きみが、なにをしてきたかなんて、俺にはわからないのに
- 18-02 ちょっと、血なまぐさい……かな
- 18-03 話しておかないといけないことがたくさんあるんだ
- 18-04 その、乳首透けないって
- 18-05 だって、磯野くん、すごくつらそうにしていたから
- 18-06 一人で背負うのは、知ってる
- 18-07 なんで、わたしなんだろうって
- 18-08 ちょっとまってくれ。七夕は、七月七日だろ
- 18-09 ぜったいに、忘れられない思い出に、しようって
- 18-10 けれど、わたしを支えてくれたから
- 19.神の目 天の川の下、この世界をもまた救うことを誓った磯野と榛名は、ライナス、ハルと無事合流し、この世界の霧島千葉とも再会を果たす。
- 19-01 物量ではこちらが圧倒していたはずなんだ
- 19-02 だから、気にしないでくださいね
- 19-03 流れ星、ですか?
- 19-04 わずかな時間だが、空の旅を楽しんでほしい
- 19-05 こころが押し潰されてしまうくらいに長く感じられた、わずかな時間だった
- 19-06 それでも、まだ足りないんだ
- 19-07 敵って、どういうことです
- 19-08 収束させろ。お前が救うべき世界へ
- 19-09 ……磯野さん……わたしが……あなたを……
- 19-10 そのさきはもう言うな
- 20.三七パーセントの世界 繰り返される死から脱出した磯野。彼は、渡り歩いた並行世界を常に見ていた存在、事態を打開可能な「機械仕掛けの神」に気づく。
- 20-01 イソノさん、その話はあとでかならず話す
- 20-02 どの並行世界にも共通するベクトルがあります
- 20-03 ――生きて
- 20-04 この流れ星は、重なり合う世界が見えているんだって
- 20-05 ちゃんと……信じなきゃ、ね
- 20-06 きみたちと私たちの目的は同じはずだから
- 20-07 ちょっとまて! お前、警察官だろ? 警察官なら市民を助けろよ!
- 20-08 磯野、霧島さんも。もう人を撃つのはやめなさい
- 20-09 そのグロックよこせえええ!
- 20-10 百年記念会館の大会議室だ。三馬が、お前を待っている
- 21.星降る世界の螺旋カノン 北大へと到着した磯野たち。そこで、この世界の柳井と竹内千尋に出会う。
- 21-01 いってらっしゃい
- 21-02 もといた世界の八月一七日の夜になにをしていたのか。きみは覚えているかい?
- 21-03 ここで全員が揃ったのもいい機会だ。もうすこし付き合ってもらおう
- 21-04 磯野、天秤ってなに?
- 21-05 三馬、もったいぶるな。問題は後者だ。
- 21-06 ああ。それが生物の正しい道筋――生き方だよ、柳井
- 21-07 え……磯野なに見てるの
- 21-08 この、星降る世界の螺旋カノンを、わたしたちは渡り歩いて、みんなを救える世界へたどり着くんだって
- 21-09 あのグリーン・バックのおっさんも、変なポーズ見せつけながら言ってただろ
- 21-10 ZOEの目、たしかに便利だ
- 22.告白 反政府組織ゴーディアン・ノットによる北大襲撃。真柄と共に北大病院からの脱出を図る磯野達。防弾車両に乗り込ませ脱出させた女性は、自らをHAL05と名乗り――
- 22ー01 救急車っていうのは、かなり乗り心地の悪い乗り物だねえ
- 22-02 君が我々に希望を与えてくれたのは、いったい何故なんだ
- 22-03 そうだよ。すごく心配したんだから
- 22-04 うん。わたしたち二人が生きていることが大事なんだと思う
- 22ー05 まるで『2001年宇宙の旅』の再現だな
- 22-06 ……磯野くん、それはちがう
- 22-07 ホント、モテモテだね、あんた
- 22-08 悲鳴という表現のほうが近いかもしれません
- 22-09 その確率の差に答えがあるんだ
- 22-10 ……磯野君! 空を見ろ!
- 23.-(マイナス) 連れ去られたライナスとハル取り戻すため、北海道のどこかにあるソ連の秘密基地を探す磯野達。HAL05が見上げた夜空に無数の流星が地に落ちて――
- 23-01 あなたが彼女にたどり着くことを拒んでいます
- 23-02 時間です。ロケット基地の位置が判明しました
- 23-03 ISOって、磯野くんの遺伝子で作られたっていう子だよね
- 23-04 磯野さんの生存世界の可能性の拡散範囲が大きいんです
- 23-05 このまま事態が悪化すれば、世界が時間軸を失います
- 23-06 立坑にたどり着くまでは、外部との通信はできない?
- 23-07 そのときは磯野君、頼む
- 23-08 大丈夫。俺がみんなを救うから
- 23-09 ごめん。きみを置いていく
- 23-10 二人で帰れなくなるんじゃないかって
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★★★ Excellent!!!
それは明日、君に起こりうることかもしれない。その世界とは――。 糸乃 空
穏やかな日常がもしも不意に変わってしまったらどうする――。
そんなこと、ある訳ない……とは決して思えない物語がここにあります!
記憶とは確かなものですか。
存在とは確かなものですか。
世界とは確かなものですか。
あなたにとっての世界とは。
本当に、手に汗をせずにはいられない作品の濃厚さと緻密さに心奪われました。
またこの先を追わせていただける幸せを胸に。
ありがとうございますーーー!
★★★ Excellent!!!
緻密、周到、摩訶不思議。二つの世界の迷宮をゆく。 狂枢亭 交吉
知ってるようで、知らない日常。自分ではない自分の記憶。複雑怪奇な現象が、礒野の気楽な大学生活を襲う。
次々起こるできごとは、目眩がするほど不思議の連続。しかし味のある登場人物たちが繰り広げる緻密かつ周到な解説のおかげで、期待をフツフツ高めながらも文字を追う目が止まらない。
ここまで作り込まれた特上のSFは、WEB小説として久しく出合えていなかったように思います。
礒野を取り巻く友人たちがこれまた個性派揃いで楽しいのです。物語を追うばかりでなくて、「彼らをもっと見ていたい」と強く思わせてくれる面々。
ちなみに私は怜に惚れてしまいました。彼女が出るたび、良い意味で、しんどいです。
二つの世界の螺旋カノン、むちゃくちゃ面白いので是非に。
不思議と、青春とが、詰まってます!
★★★ Excellent!!!
彼らにまた会いたくなる。そんな気持ちにさせてくれる奴らがここにはいる。 水銀弐號
面白い。
何度言えば伝わるだろうか。
本当にこの「二つの世界の螺旋カノン」は面白い。
通奏低音として流れる慟哭にSFとオカルトと青春が乗っかった普遍性を備えた物語。
理不尽さに対抗する覚悟とそれを支える優しい奴ら。
冒頭から暫くは主人公「磯野」の所属する文科系サークルの緩やかでどこにでもある日常が描かれる。
緩やかな日々が続くかと思われたが、「磯野」はあるキーアイテムをきっかけに目眩に襲われ気が付くと奇妙な世界にさ迷い込んでいた(「1-6異常なのはこの世界の方だ)。
その世界は「色彩が薄く、無人・無音の空間」。
「磯野」の身に何が起きたのか。これから始まる事件の異様さの端緒に触れたなら(「1ー10そっちこそ誰なんだ?」)、そこからはまさに怒涛だ。回を追うごとに謎が謎を呼び、話数を重ねるごとに面白味も増して行く。
しかし、物語は事件の謎に終始しない。
決して謎で引っ張るだけの展開ではなく、複雑になりそうな話に読者が置いてけぼりを喰わないのは、やはり登場人物の溢れんばかりの魅力が物語を牽引しているからなのだろう。
彼らにまた会いたくなる。そんな気持ちにさせてくれる奴らがここにはいる。
彼らの趣味や好き嫌い、信条なんかが習慣として彼らの行動にしっかり根ざしており、生活にリアリティがある。
登場人物の言葉や行動が「心の導線を大事に」描かれ「一人の人間がちゃんといる」のだ。
劇…
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★★★ Excellent!!!
謎を呼ぶストーリー、主人公を彩るサークル仲間たち バナセル
“のほほん”とした学校生活に突如訪れた不可思議な現象――
主人公『磯野』は二つ世界の記憶さえ並行した事態を、仲間とともにどう切り抜けるのか――
この作品の魅力は二つの世界、二つの記憶の謎の探求、
さらにサークル仲間との“すったもんだ”や主人公の心の声――
読み進めればこの作品にきっと引き込まれるでしょう。
おすすめです!