小説投稿サイトのSFより早川書房読も!という方にこそ読んでほしいSF

 皆さん、パラレルワールドという言葉を、聞いたことがありますか?
 パラレルワールドとは、自分が別の人生を生きている平行世界のことです。

 もしかしたら、自分が大富豪になっている平行世界もあるかもしれません。

 ですが、この物語で主人公が出会うパラレルワールドは、先ほど言ったような極端なものではありません。

 どちらの自分も、同じ大学に通っている。
 でも、入ったサークルが違う。
 友達との仲の良さの度合いが、少し違う。
 その程度の違いです。

 では、わずかな違いしかないパラレルワールドと、本物の自分が混線した事に気づいたら、あなたはどう生きますか?

 どのように世界が混ざり合うかというと。
 寝て起きるたびに、自分が生きる世界が入れ替わってしまう。
 映画研究会に所属して活動した次の日に、あなたはオカルト研究会の部員だと言われる。
 納得できないなりに考えてみると、昨日オカルト研究会に行った記憶もある。

 そんな日々が、8月7日から始まります。

 主人公は、この現象を解決するために、サークルの仲間の力を借りて調査に乗り出します。

 大学生の夏の思い出としてこの物語が終わるのかな、と思っていました。

 が。

 主人公が巻き込まれたのは、世界を終わらせる可能性が高い現象で、主人公は世界を救うための戦いに巻き込まれていきます。

 無理矢理ジャンル分けするなら、セカイ系が一番近いですが、きちんと作中の理論が世界を救うことにボーイミーツガールが必要であることを保証している骨太なSFです。

 小説投稿サイトのSFなんてVRMMOしかないでしょ! 早川書房しか勝たん! と思っている方にこそ、読んでいただきたいです。

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