静かだけれど、確かな愛がそこにある。

初々しさの中にしっとりと落ち着いた雰囲気のある恋愛小説です。
主人公の花村さんと田沢くんの恋模様が中心となっていますが、深く関わるのは千羽鶴の存在。
誰かのために願いを込めて綴る千羽鶴ですが、それを肯定的に受け止めるのか否定的に拒絶するのかは人それぞれ。

人間に対してもそれは同様で、同じ人物に対して肯定的に受け入れる人もいれば、否定的に拒絶し攻撃する人もいます。

花村さんはまさにその渦中に置かれてしまった人物です。
祖父母や母親、同級生などに否定的に扱われてきた彼女ですが、彼女の兄や従兄、また高校の同級生だった田沢君や職場の先輩など、彼女を肯定的に支えてくれる人達も大勢います。
田沢君との再会をきっかけに、そういった周囲の人達に支えられながら、彼女は少しずつ自分の思いに正直になってもよいのだということに気づいていきます。

少しずつ、少しずつ、恋人らしくなっていく二人の成長を陰ながら応援したくなる物語です。

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