背徳を凌駕する、叛徳の物語

どう形容したらよいのでしょうか。
その言葉を、私は持たない。

耽美。退廃。背徳。どれも大いに当てはまり、全て少し違う。
精密かつ緻密に修飾された文章でもって削り出されるダーシアや彼女を取り巻く者の心の振動。それは胎動が如く規則的に、そして不規則に読む者の心を共振させる。

徳に背くのではなく、徳に叛く。そういう言葉を作り、どうにかこの深淵の渦のことを表わそうとしましたが、やはり違う。そう思ったとき、最も美しく、端的にこの物語を表す語の組み合わせを知っていることに気付きました。

いばらの咎。

全て、このタイトルに。
ご一読下さい。

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