個性豊かな登場人物と緻密な戦闘描写に彩られた、平等と差別との相克の物語

表面上は撤廃されたとはいえ、いまだ人種差別の横行する架空の世界を舞台に、神の目とよばれる天性の才能をもち、三つの人格を心に宿した少年や、彼が兄と慕う謎多き少年、策士ながら身体能力は人並み以下の貴族に、人の心をよむ能力をもつインターセクシャルの女性などなど、個性豊かな登場人物たちが織りなす、差別との戦いの物語です。

緻密に描かれる戦闘描写の迫力にくわえて、根強く残る差別に反対する皇帝と、差別を容認する皇太子という皇国を二分する巨大な権力の相克のなかで、複雑に張り巡らされた人と人をむすぶ糸が次第に解きあかされていく面白さもありました。

王道のファンタジーに差別との戦いという要素が加わったことで、ファンタジーが好きな方やアクションシーンが好きな方、そして人の織りなすドラマが好きな方にもお勧めできる作品です。

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