逝った祖父が遺してくれたものは、人を愛する勇気

木が好きで、大工として就職していたデリクは、職場で苛めに遭い、退職するはめに。幼友達に裏切られ傷心のデリクは、木彫り細工職人の祖父の許で暮らし始める。街を離れ、祖父と共に好きな木に囲まれた暮らしは、彼を少しずつ癒していった。

その祖父が、逝ってしまった。

やがてデリクは、祖父が遺した大量の細工物を、彼の作品を好んでくれた街の人々に配る作業を始めた。その過程で、デリクは一人の少女に出会う。彼女の待つ街へ通ううちに、デリクの気持ちは少しずつ変化していく。

短い物語ですが、木を愛する職人の心、傷ついた青年の成長と友情の再生が、丁寧に描かれています。ひとつとして同じ物のない木の細工に、職人の手の温もりを感じさせるような描写が、素敵でした。

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