じっくりと、じんわりと。


 大きな身体に硝子細工の心を持つ繊細な青年デリクは、とある挫折をきっかけに世捨て人のような生活を送っていたが・・・

 ファンタジー作品なのだが、その世界観は突飛な部分が無く、まるで現実世界と地続きのような錯覚を覚える作風となっている。

 派手な戦闘も魔法合戦もなく、淡々とした筆致で描かれる物語は、短編でありながら奥行きと広がりを感じさせる確かなモノとなっている。

 筆者の巧みなストーリーテイリングの賜物といえるだろう。

 どこか懐かしく、名作児童文学の風格を備えた作品である。

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